中国外交トップの王毅氏がプーチン大統領と会談、戦略的協力を強化
(中国、ロシア)
北京発
2023年09月26日
中国の王毅・共産党中央政治局委員(注)は9月20日(ロシア時間)、サンクトペテルブルクでウラジーミル・プーチン大統領と会談を行った。
王政治局委員は、3月に行われた習近平国家主席とプーチン大統領との会談(2023年3月29日記事参照)について、両国関係の発展に向け新たな進むべき道を指したと評した。その上で、自身の今回のロシア訪問では、セルゲイ・ラブロフ外相らと各分野での協力について整理したとして、両国首脳の重要合意に基づき、戦略的相互信頼を増強し、実務的協力を深化させ、中国・ロシア友好のための民意と社会的基礎をさらに固めることを望むとした。
また、中国とロシアは国連安全保障理事会の常任理事国として、世界の発展と進歩に重大な責任を負っているとした。その上で、戦略的協力を強化し、双方の正当な権益を維持し、国際秩序の公正・合理的な方向への発展促進のため、新たな努力をする必要があるとした。
中国外交部によれば、プーチン大統領は習主席のロシア訪問は「時代を画する」もので、ロシア・中国の包括的戦略的協力パートナーシップが高いレベルにあることを体現したと評価した。また、2023年に入り、「ロシアは西側による一方的な制裁による打撃を克服した」として、中国との実務的協力の強化を希望した。
王政治局委員は、9月19日にニコライ・パトルシェフ安全保障会議書記と第18回戦略安全保障協議を実施し、大量破壊兵器の拡散防止などについて協議を行った。また、同日に中国、ロシア、モンゴルによる3カ国安全保障事務ハイレベル代表会談を行った。
外交部は9月21日の記者会見で、プーチン大統領の中国訪問に関する質問について「『一帯一路』国際協力ハイレベルフォーラムを10月に開催するにあたり、『一帯一路』協力パートナーと密接な意思疎通を行っている」として、関係国からの訪中を歓迎すると回答した。
中国社会科学院ロシア・東欧研究所の張弘研究員は「グローバルガバナンスには全世界の共同の努力が必要であり、特定の国が決定したり指導したりするものではない。中国は安全保障理事会の常任理事国として、他の大国と正常な交流を維持する必要がある」として、ロシア訪問の意義を評価した(「環球時報」9月20日)。
(注)王政治局員は7月25日の第14期全国人民代表大会第4回会議で外交部長(外相)に就任したが、今回のロシア訪問に関する外交部発表では外交部長の肩書が記されていない。なお、外交部ウェブサイトでは依然として外交部長として紹介されている。
(河野円洋)
(中国、ロシア)
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