オクトパスエナジー、シェルの英国・ドイツのエネルギー小売事業買収、EV関連サービスでも連携

(英国、ドイツ)

ロンドン発

2023年09月05日

オクトパスエナジーは9月1日、英国石油大手シェルのエネルギー小売事業会社シェル・エナジーの英国とドイツ事業の買収を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。移管される顧客の規模は両国合わせて約200万件。手続きを経て2023年第4四半期(10~12月)に買収が完了する予定。

今回の買収により、オクトパスエナジーの英国のエネルギー小売り顧客は約650万件、ドイツの顧客は約30万件となる。

オクトパスエナジーの発表では、シェル・エナジーの現契約者は、規制当局による承認手続きなどが完了するまで、契約をそのまま継続することが推奨されている。口座振替による支払いの場合は、オクトパスエナジーに口座が自動で引き継がれる予定。また、シェルの発表によると、現行の料金率や供給条件は移管後も維持される。オクトパスエナジーはシェル・エナジーの顧客向けに特設ページを開設し、移管に関する最新情報を掲載、更新して説明を行う。

オクトパスエナジーは「クラーケン」と呼ばれる自社デジタルプラットフォームを用いて、大規模な顧客を管理できるとしている。同社は経営破綻したバルブ・エナジーの顧客約150万件の移管を約半年の期間で完了している(2022年11月7日記事参照)。

今回の合意に合わせ、シェルとオクトパスエナジーは国際的なパートナーシップの可能性を探ることを目的とした基本合意書(MoU)を締結した。両社の電気自動車(EV)関連サービスのユーザーを含め、EV充電を利用する顧客に最高の体験を提供することを計画している。共同プロモーションやブランド活性化を含めたEVのバリューチェーン全体での協力関係構築の可能性も検討するとしている。シェルはグローバルなEV充電網の拡大に力を入れており、2030年までに約20万カ所の公共充電ポイントを整備する予定としている。また、オクトパスエナジーは「オクトパス・エレクトロバース」を通じて、英国や欧州内の約50万カ所以上(9月4日時点)の公共充電ポイントと、目的地に応じた最適な充電ルートの検索アプリを提供している。

(菅野真)

(英国、ドイツ)

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