2024年国家予算案、ジョコ政権最終年でGDP成長率5.2%目標

(インドネシア)

ジャカルタ発

2023年08月30日

インドネシアのジョコ・ウィドド大統領は8月16日、2024年予算案を国会に提出した。予算案の歳入は2,781兆3,100億ルピア(約26兆4,224億円、1ルピア=約0.0095円)、歳出は3,304兆1,400億ルピアと設定された。予算案策定にあたり前提としたマクロ経済指標(目標)は、実質GDP成長率を5.2%、インフレ率を2.8%とするほか(添付資料表参照)、財政赤字をGDP比2.29%とした。なお、2024年はジョコ大統領にとって任期の最終年となる。インドネシアでは2024年2月に大統領選挙が行われるが、現職の大統領が3選することは禁止されており、ジョコ氏は同年10月で任期満了となる。

ジョコ大統領は予算案に関する国会演説の中で、新型コロナ禍後の迅速な経済回復により、世界銀行が前年の1人当たり国民総所得(GNI)に基づく国・地域別の所得分類において、インドネシアが3年ぶりに上位中所得国入りしたこと(2023年7月7日記事参照)、2021年第4四半期から7四半期連続で5%以上の経済成長率を維持していること(2023年8月16日記事参照)、財政赤字についても、当初の予定より1年早くGDP比3%以下に抑えたことなど堅実な財政運営をこれまでの成果として強調した(国家官房プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

2024年予算案については、経済変革を進めるとともに、健全で持続可能な国家予算運営が必要と述べた。経済変革の推進については、短期的には貧困の撲滅、インフレの抑制、投資誘致の増大、中期的には1.教育・医療制度の質向上と社会保障制度の改革を通じた人材育成、2.インフラ整備(特にエネルギー、食料、コネクティビティ、情報通信分野)、3.官僚制度改革と規制緩和、4.資源の高付加価値化、5.グリーン経済の開発の5つを柱として掲げた(財務省プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

大統領施政方針演説で2045年の経済大国入りに意欲を表明

ジョコ大統領はまた、8月16日に施政方針演説を行い、1.2030年代にピークを迎える人口ボーナス、2.G20議長国を成功に導き、ASEAN議長国などを務める中で国際的信頼を高めていることは、今後大きなチャンスになると述べた。

また、独立100周年にあたる2045年において経済大国入りを目指す「ゴールデンビジョン」を達成するためには、インフラ開発、農村などの開発を通じた経済の平準化、規制の簡素化、汚職撲滅などの構造改革を行うことが重要とした(国家官房ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

(八木沼洋文)

(インドネシア)

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