インダス・モーター、エジプト向け自動車部品輸出を開始

(パキスタン、エジプト)

カラチ発

2023年07月19日

トヨタ・ブランドの四輪車を製造販売するパキスタン合弁会社インダス・モーター(IMC)は711日、エジプトの車両製造会社であるトヨタ・モーター・エンジニアリング・エジプト(TMEE)と現地サプライヤー向け自動車部品輸出で合意し、輸出を開始したと発表した。一定量の輸出が義務付けられた施策「2021-26年自動車産業開発および輸出政策(AIDEP2022年3月31日付地域・分析レポート参照)」に対応したもの。パキスタン製造の自動車部品が「トヨタ・グローバル・サプライ・チェーン」に組み込まれるのは初という。IMCの株主であり、部品国産化を支援する豊田通商が、エジプトでの部品国産化も支援しており、その関連で輸出が実現した。IMCは今回の部品輸出について、政府の掲げる「メーク・イン・パキスタン」政策や「ルック・アフリカ」政策にもかなったものと述べた。

IMCが輸出する部品は具体的には、TMEEが製造するスポーツ用多目的車(SUV)のカーペット用不織布だ。パキスタンで製造した不織布をロールで輸出し、現地の部品メーカーが車両用カーペットを製造する。IMC幹部は713日、ジェトロの取材に対し、「自動車製造業をパキスタンでサステナブルなビジネスにしていくには、輸出に貢献しなければならない」と語った。

20222月に発表されたAIDEPでは、自動車産業の規模拡大と外貨獲得を目指して、二輪車・四輪車の部品輸出が義務化された。適用初年度の2022-2023年度(20227月~20236月)については、自動車メーカーは輸入総額(C&F価額)の2%、2023-2024年度は同4%、2024-2025年度は同7%、そして最終年度の2025-2026年度は同10%相当額の製品を輸出することが定められている。発表された当初、「部品輸出は容易ではない」とメーカーには困惑が広がっていた。

また、パキスタン自動車工業会(PAMA)は2023711日、2022-2023年度の自動車生産販売実績を発表した。政府による自動車・自動車部品の輸入規制を受け、普通乗用車の販売台数は96,812台となり、過去最高を記録した前年度と比較して58.7%の大幅な減少となった。

パキスタンでは現在外貨が不足しており、メーカー各社は前年輸入実績の50%程度の輸入しかできない状況が続いている。こうした中、自動車メーカー自らが部品輸出で外貨獲得に乗り出す今回の動きは注目される。

(山口和紀)

(パキスタン、エジプト)

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