統一特許裁判所、ミラノに支部設置へ
(EU)
デュッセルドルフ発
2023年07月05日
統一特許裁判所(UPC)は6月29日、中央部の支部をイタリア・ミラノに設置すると発表した(プレスリリース)。6月26日に開催されたUPC管理委員会で、UPC協定第87条第2項に基づき、UPC協定をEU法に沿ったものとするため、UPC協定第7条第2項(中央部はパリに所在し、その支部をロンドンおよびミュンヘンに置く)の改正を決定した。
英国がUPC協定の批准を取り下げた後、2020年のUPC準備委員会において、ミラノは支部の新たな候補地として立候補を表明。2023年5月になって、イタリア政府はフランス、ドイツとUPC中央部のミラノ支部設置について合意したと発表していた(プレスリリース)。今回のUPC管理委員会でUPC締約国が承認し、正式にミラノ支部設置が決定された。
UPC管理員会は、ロンドン支部が担当予定だった分野の配分も決定。(1)医薬品分野を含むIPCセクションA(生活必需品)、(2)バイオ分野を含むIPCセクションC(化学、冶金)、(3)これらのIPCセクションの補充的保護証明書(SPC)(注)について、ミラノ支部は(1)、ミュンヘン支部は(2)、パリ中央部が(3)をそれぞれ管轄することを決定した。ミラノ支部が設置されるまでは、UPCが5月16日に発表(プレスリリース)したとおり、SPCを含むIPCセクションA(生活必需品)はパリ中央部、SPCを含むIPCセクションC(化学、冶金)はミュンヘン支部が担当することになる。
UPC協定の締約国は、管理委員会の決定に対して、その決定による拘束を希望しない旨の宣言を12カ月以内に行うことができ、その場合、当該決定は効力を発しないとされているため、ミラノ支部設置は少なくとも1年後となる。
なお、欧州単一特許制度の詳細な情報は、欧州知的財産ニュースを参照。
(注)補充的保護証明書(SPC)は、規制当局によって認可されたヒトまたは動物用医薬品、または植物保護製品の特許期間を最大5年延長する知的財産権。
(鹿戸俊介、中村勇介)
(EU)
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