WHO、新型コロナウイルスに対する緊急事態宣言終了を発表

(世界、スイス)

ジュネーブ発

2023年05月09日

世界保健機関(WHO)は5月5日、新型コロナウイルスに関する「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を終了すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。2020年1月30日に同宣言が発表されて以降、約3年3カ月を経て終了の宣言に至った(2020年1月31日記事参照)。

緊急事態宣言の終了は、2023年5月4日に開催されたWHOの新型コロナウイルスに関する緊急委員会の会合で、新型コロナウイルスによる死者の減少傾向、入院や集中治療室利用の減少、集団免疫の高さなどを踏まえ、緊急事態宣言の終了が勧告されたことを受けて決定された。テドロス・アダノム事務局長は会見で「(緊急事態宣言の終了によって)新型コロナウイルスが世界の健康上の危機でなくなったわけではない」とし、「今、各国が最もやってはいけないのは、このニュースをきっかけに油断し、これまで構築してきたシステムを解体したり、国民に『新型コロナウイルスを心配する必要はない』というメッセージを発信したりすることだ」と警鐘を鳴らした。その上で、緊急事態宣言の終了は「各国が緊急事態から、新型コロナウイルスを他の感染症と並行して制御する時期に移行したということだ」とした。

また、テドロス事務局長は「(新型コロナウイルスによって)約700万人が亡くなったとWHOに報告されているが、その数倍に当たる少なくとも2,000万人の犠牲者がいることが分かっている」と述べた。

WHOは全ての締約国に対して、国の対応能力を維持し将来の事案に備えること、新型コロナウイルスの予防接種を通常の予防接種プログラムに組み込むことなどを含む7つの暫定的な勧告を発表した。併せて、新型コロナウイルスを継続的に制御する方法について、各国に長期的な勧告を行う審査委員会を設置することを決定した。

(深谷薫)

(世界、スイス)

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