インド政府、安価なリンゴの輸入を禁止

(インド)

ニューデリー発

2023年05月12日

インド商工省貿易総局(DGFT)は5月8日、生鮮品としてのリンゴ(HSコード:08081000)のうち、CIF価格が1キログラム当たり50ルピー(約80円、1ルピー=約1.6円)以下のものの輸入を禁止すると発表した。ただし、ブータンからの輸入に際してはこの価格制限の適用対象外とした。

インドでは、北部のジャンム・カシミール連邦直轄領などがリンゴの主な産地となっており、2021年度(2021年4月~2022年3月)の国内リンゴ生産量(インド農業・農民福祉省推計)は245万トンだった。他方、近年は中東などから輸入されたリンゴも市場に浸透し始めている。インドの通関統計によると、2022年にインドに輸入されたリンゴ(数量ベース)は計39万トンで、トルコ(11万トン、全体の28%)とイラン(8万トン、同20%)の上位2カ国が約半分を占める。

平均輸入単価(1キログラム当たり)でみると、トルコの63ルピーに比べてイランは38ルピーと低価格で、今回の輸入禁止措置により大きな影響を受けるのは、主にイラン産リンゴとみられる。なお、ブータンの平均輸入単価は41ルピーと安価だが、輸入量は17トンと全体シェアの1%にも満たない状況だ。当地報道では、特に安価なイラン産リンゴが国産リンゴの価格を押し下げているとして、ジャンム・カシミール連邦直轄領のリンゴ農家が、イラン産リンゴの輸入禁止を政府に求めていたと報じられている(「エコノミック・タイムズ」紙5月8日)。

日本産リンゴは、2022年3月にインドへの輸入が解禁されており(2022年3月24日記事参照)、現在、商流構築を図るための輸出が試みられている段階だ。今回の輸入規制は低価格品を対象としていることから、日本産リンゴの輸入に際して影響が及ぶ可能性は低いとみられる。

(広木拓)

(インド)

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