サウジアラビアでアラブ連盟首脳会議が開催、シリアが12年ぶりに復帰

(中東、サウジアラビア、イエメン、シリア、レバノン、スーダン、ウクライナ)

リヤド発

2023年05月22日

サウジアラビアのジッダで5月19日、第32回アラブ連盟首脳会議が開催された〔5月19日付サウジアラビア国営通信社(SPA外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)〕。同会議には、シリアのバッシャール・アサド大統領が13年ぶりに出席し、アラブ連盟の21カ国・1機構の代表がそろった。シリアは、2011年に始まった内戦を機にアラブ連盟への参加資格を停止されていたが、2023年5月7日の外相会合で12年ぶりに復帰することが決定していた(2023年5月10日記事参照)。

SPA(5月19日付)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、閉会式で発表された「ジッダ宣言」の概要は以下のとおり。

(1)地域の安定において、パレスチナ問題が重要課題の中心にあることを再確認する。パレスチナ人の生命、財産および存在を標的とした行為・侵害を最も強い言葉で非難する。東エルサレムを首都とする1967年の境界線に基づきパレスチナ国家を樹立するために、「アラブ和平イニシアティブ」や関連決議などに従い、解決を実現するための取り組みを強化する。

(2)スーダン情勢におけるアラブ諸国やスーダン国民の安全、安心、安定性への影響について、深い懸念を表明する。また、紛争を助長し、地域の平和と安全を脅かすいかなる外部干渉も回避する必要性を再確認した。5月6日にジッダで開始された、スーダンの国内グループ間の会合は、この危機を終わらせ、スーダンの安全と安定を回復し、その人々の能力を守るための重要なステップだ。

(3)アラブ連盟や関連機関へのシリア政府代表団の参加再開に関して、アラブ連盟理事会の決定を歓迎する。この決定がシリアの安定を支え、その領土の統一を維持し、アラブ地域におけるその役割を再開することに希望を表明する。

(4)イエメン共和国の安全と安定を保証し、「湾岸協力会議(GCC)イニシアティブ」とそのメカニズムの実施、「イエメン国民対話」、国連安保理決議2216号に基づき、包括的な政治的解決を目指す国連と地域の努力を支持する。

(5)レバノンに対し連帯を表明し、大統領を選出するために全ての政党が対話を行うこと、憲法機関の通常の活動、経済危機から脱するために必要な改革の実行を求める。

宣言はそのほかに、持続可能な発展、安全、安定、平和な暮らし、文化など多岐にわたった。

会議には、ウクライナのボロディミル・ゼレンスキー大統領も出席した。5月19日付SPA外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、同大統領は演説において、「われわれは平和と正義のためにここに来た。ウクライナ国民を助けるように求める」として、支援を求めた。

(林憲忠)

(中東、サウジアラビア、イエメン、シリア、レバノン、スーダン、ウクライナ)

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