世界経済フォーラム(WEF)、アフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)で自動車産業が発展との見通しを発表
(アフリカ、南アフリカ共和国、モロッコ)
中東アフリカ課
2023年04月11日
世界経済フォーラム(WEF)は4月4日に、アフリカ大陸全体の自動車産業の市場規模が2021年時点で304億ドルだったところ、アフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)によって、2027年には約40%増の421億ドルまで成長するとの見通しを発表した。
大陸全体では240万台の乗用車と30万台の商用車の需要があり、経済成長や都市化によって需要も増加のみ込みだという。乗用車・商用車のみならず、今後、二輪車も普及する可能性がある。域内の自動車生産も年7%の成長を続けており、域内では特に南アフリカ共和国やモロッコなどで生産されており、アルジェリアでの生産も増加しているという。一方で、現在は中古車の輸入などの割合が多い。
アフリカでは豊富な天然資源を有するが、それらを輸出するばかりで、工業製品の多くを輸入し、現時点では製造業が育っていない。AfCFTAにより、域内での関税が撤廃され、インフラやサプライチェーンが整備されれば、域内における自動車関連産業の発展につながる見込みだ。モザンビークではアルミニウム、コートジボワールではゴムなど、自動車製造に必要な原材料を産出している。さらに、アフリカの南部などで産出されるプラチナ、コバルト、ボーキサイト、リチウム、銅なども、世界的な電気自動車(EV)の普及に伴い注目されている。
また、アフリカ輸出入銀行(Afreximbank)とアフリカ自動車工業会(AAAM)は、自動車規格の統一を支援し、自動車産業の成長に協力している。加えて、アフリカ輸出入銀行は融資やパートナーシップを通じて約10億ドルの支援を表明した。
WEFは、3月にもAfCFTAにおけるビジネスと投資の見通しに関するレポート「AfCFTA: A New Era for Global Business and Investment in Africa」を発表している。なお、AfCFTAは2021年1月に運用開始が宣言されたが、試験プログラムが始まった段階であり、本格的な運用開始には至っていない(2022年10月7日記事参照)。
(井澤壌士)
(アフリカ、南アフリカ共和国、モロッコ)
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