インド商工省、「外国貿易政策2023」を発表
(インド)
ニューデリー発
2023年04月11日
インド商工省は3月31日、実務的な貿易関連政策を定めた「外国貿易政策2023」を発表し、4月1日から適用を開始した。これまで「外国貿易政策2015~2020」(当初対象期間:2015年4月~2020年3月)が、新型コロナウイルス感染拡大の影響などを理由とした計5回の延期により2023年3月末まで延長されてきたが(2022年10月4日記事参照)、今回は8年ぶりの刷新となった。また、商工省は従来、外国貿易政策を原則5年ごとに策定してきたが、今回新たに発表した「外国貿易政策2023」には期限を定めず、必要な際に見直すこととした。
新しい外国貿易政策の4本軸として、(1)インセンティブ付与から税負担軽減への移行、(2)輸出促進のための関係者連携、(3)ビジネスのしやすさ向上(取引コストの軽減、手続きの電子化促進)、(4)Eコマース開発地区の輸出拠点化と輸出管理制度の合理化、が挙げられている。代表的な施策7項目の主な内容は以下のとおり。
- ビジネスのしやすさ向上:特定輸出許可手続きに必要な日数を最大1カ月から最短1日にまで短縮、輸出促進スキーム手数料の一部引き下げ、原産地証明書発行の電子化
- 輸出促進イニシアチブ:優良輸出事業者の認定基準緩和、輸出優良自治体の拡大
- 輸出拠点化イニシアチブ:地区レベルでの人材育成、輸出拡大に必要なインフラ・ロジスティクス開発支援
- Eコマース輸出:外国貿易政策の対象をEコマース輸出にも拡大するに当たり、必要となるITシステムの改修・ガイドラインの策定、倉庫施設を持つEコマース輸出拠点の導入
- 製造業拡大に向けた取り組み:輸出促進資本財制度(EPCG)における輸出義務要件の軽減対象をバッテリー式電気自動車(BEV)、排水処理設備、グリーン水素などにも拡大、特定輸出促進スキームをテキスタイル分野にも適用
- 輸出義務に反した輸出事業者への1回限りの特赦制度:輸出促進資本財制度(EPCG)と事前認可制度(Advance Authorization)における輸出義務要件を満たさなかった輸出事業者に対して、9月30日まで特別な特赦制度を導入
- 特殊化学物質、生物、材料、装置および技術(SCOMET)ライセンス手続きの合理化:無人機・ドローン、極低温タンク、一部の化学品など、輸出管理上でSCOMETライセンスが必要な品目のライセンス取得手続きの合理化
(ミナクシ・ベルワル、広木拓)
(インド)
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