ドイツのヒートポンプ市場が拡大、2022年は前年比5割増

(ドイツ)

ミュンヘン発

2023年02月15日

ドイツの連邦ヒートポンプ協会(BWP)は127日、隔年で公表している業界動向レポートを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同レポートでは、ヒートポンプがドイツ国内で急速な勢いで普及していることが示された。

連邦政府は、建物分野の温室効果ガス削減の手段としてヒートポンプを支持し、「2024年以降、毎年50万台のヒートポンプ導入」の目標を掲げる(2022年11月30日記事参照)。また、20223月には、連立政権内で「可能な限り、2024年以降は新規に設置する暖房機の65%以上を、再生可能エネルギーを使用するものにする」ことも決まっている。連邦政府は、これまでに2回のヒートポンプサミットを開催、導入を後押してきた。

BWPが今回公表した「業界動向レポート2023PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」によると、2022年のドイツ国内のヒートポンプ新規設置台数は前年比53%増の236,000台。うち、新築向けは6万台、改築向けは176,000(BWP推定)。同レポートは需要急増の要因として、(1)エネルギー価格の高騰、(2)化石燃料である天然ガスには経済的・環境的なリスクがあるとの意識の高まり、を挙げた。今後のドイツ国内のヒートポンプ市場については、2023年約35万台、2024年約502,000台、2029100万台弱が設置されると予測。ゆえに、連邦政府の掲げる目標は達成可能とした。一方、暖房設備全体では、2022年に949,000台が導入され、ヒートポンプのシェアは約25%だった。また、ヒートポンプの稼働台数については、2022年の145万台から、2025280万台、2030600万台強、2045年までに1,650万台に達すると見込む。

市場拡大受け、ドイツ企業も投資など進める

市場拡大を受けて、ドイツ企業もヒートポンプ分野の投資や研究開発を進めている。暖房機器大手フィースマン(Viessmann)は21日、2022の業績を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます2022年はヒートポンプを含む気候変動関連に10億ユーロを投資し、ヒートポンプ関連の研究開発規模を拡大する計画を発表、またヒートポンプ関連業務に従事する従業員数は倍増したとした。2022年8月にはオラフ・ショルツ首相外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますが、2023年1月にはボリス・ライン・ヘッセン州首相が同社を視察外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますするなど、政界からの期待も大きい。

また、ボッシュは23日、2022年業績(速報値)を公表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます、ドイツ国内でのヒートポンプ関連の売上高が5割拡大したと発表した。同社は欧州のヒートポンプ市場が2025年までに年間2535%増加すると予測、同社は市場の伸びを上回る4割増を目指すとしている。同時に、ヒートポンプとガス暖房の組み合わせ(ハイブリッド)に可能性があるとした。

暖房機器大手バイラント(Vaillant)は20225月に2021業績を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます、ヒートポンプ関連の売上高が前年比5割以上増加し、研究開発や生産規模拡大のための投資をさらに進めるとしている。

(高塚一)

(ドイツ)

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