日本酒の輸入手続きに変更発生

(インド)

ニューデリー発

2023年01月10日

インドで、日本酒の輸入が2020年以降停止していた問題について、2022年6月に暫定的に解消されたと報じたが(2022年6月17日記事参照)、今回、輸入時の必要手続きに変更が生じた。

これまでの経緯として、2020年1月の制度変更によって、インドでの日本酒輸入時にISO17025認証検査機関発行の分析証明書が必要とされ、これを発行する条件を満たす機関が存在しないことが原因で、通関に障害が生じていた。その後、在インド日本大使館とインド食品安全基準局(FSSAI)の交渉により、地理的表示(GI)「日本酒」をインド国内でも登録することで日本酒をこの規制対象外とする内容で合意し、FSSAIはGI登録手続き期間中の暫定的な措置として、輸出入業者が通関時に一定の書類を添えることで日本酒の輸入を可能とすることを承認していた。2022年10月には大使館がGI登録申請を行い、現在のステータスは審査中となっている。

しかしその後、実務上、同措置の方法での輸入ができていないという事例が把握されていた。これを受け、大使館が再度FSSAIと交渉した結果、インド国内の検査機関(NFL Ghaziabad)で事前に検査して取得した分析証明書を通関時の書類として添付することで輸入が可能となった。変更後の手続は以下のとおり。

具体的な手続き内容

(1)FSSAI指示により、輸出国で取得することとされている分析証明書に代え、FSSAIの検査機関National Food Laboratory Ghaziabad(NFL Ghaziabad)で事前に成分分析を行い取得した証明書を認める。

(2)成分分析検査の対象項目は以下のとおり。

  1. 品質検査:アルコール度数(22度未満)。
  2. 安全性検査:本記事の添付資料1のとおり。

(3)輸出前のNFL Ghaziabad への成分分析検査申請に当たっての留意点は次のとおり。

  1. 成分分析検査の申請書は添付資料2のとおり。
  2. 申請書はメールでnfl.gzb@fssai.gov.in宛てに送付。
  3. 検査費用の送金先は添付資料3のとおり。支払い明細書類を上記宛て先に送付。検査費用は上記項目について1万3,000インド・ルピー(約2万800円、1ルピー=約1.6円)+GST18%。
  4. 成分分析検査に要するサンプルは1銘柄につき1リットル。1リットルについて複数のボトルを送付する場合、同一容量のものを送付(例:720ミリリットルボトルを2本)。
  5. サンプルの受取人はインド国内の輸入者(NFL Ghaziabadは受取人とならない)。本件検査のみを理由として、関税が免除されるものではない。
  6. インボイスに「Lab testing for R&D purpose」「No commercial value」を明記。
  7. サンプルは通関業者(Custom House Agent)がNFL Ghaziabadに送付。
  8. 成分分析証明書はNFL Ghaziabadからのメールで受領。

この件に関する日本側の問い合わせ先は以下のとおり。

  • 在インド日本大使館 経済班(担当:宇藤)
  • E-mail:jpemb-economic@nd.mofa.go.jp
  • TEL:+91-11-4610-4610(代表番号)

これまでの日本酒輸入手続きに変更が生じているため、インドへの輸出を検討・予定している各関係業者は留意が必要だ。

(酒井惇史)

(インド)

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