TOYO TIREのセルビア工場が開所、ブチッチ大統領は輸出に期待
(セルビア、日本)
ウィーン発
2022年12月22日
TOYO TIREは12月14日、セルビアのインジヤ市でタイヤ工場の開所式典を行ったと発表した。式典には、セルビア側からアレクサンダル・ブチッチ大統領、イェレナ・ベゴビッチ科学・イノベーション・技術開発相、イレナ・ブーヨビッチ環境保護相ら、日本側からは勝亦孝彦・駐セルビア日本大使、TOYO TIRE社長の清水隆史氏らが参加した。日本の伝統的な鏡開きやだるまの目入れ式が行われた。
同社は2019年7月にセルビアにタイヤ工場を建設することを発表(2019年8月6日記事参照)、2020年12月に起工式が行われた(2020年12月21日記事参照)。新型コロナウイルス感染拡大やロシアによるウクライナ侵攻による影響などに見舞われながらも、予定どおり工場開所に至った。
セルビア大統領府の同日付ウェブページによると、清水社長は式典のあいさつで、セルビアとブチッチ大統領に感謝の意を表明するとともに、日本とセルビアが友好関係を樹立してから140周年を迎える年にセルビア工場が開設されたことを特に誇りに思うと述べた。
ブチッチ大統領は、われわれが5年間見てきた夢が実現した特別な日と述べた。また「これはセルビアで唯一、環境に関して誰も不満を抱かない工場だ。最新設備を備えている」とし、「TOYO TIREにとって唯一の欧州工場であるだけでなく、世界でも最高設備を備えた工場」とした。さらに、高度に自動化・デジタル化された工場がセルビア最大の輸出者となり、「メード・イン・セルビア」の最高のタイヤが供給されることを期待すると述べた(現地メディア「b92」12月14日付)。
同社プレスリリースによると、セルビア工場は最新技術の導入によって工程を見える化し、高い生産性を有する設備を高精度に連携させることで、生産管理体制を最適化していくスマートファクトリーだ。敷地内にはセルビアで最大規模となる太陽光発電システム(発電電力容量8.4メガワット)を併設し、年間10.15ギガワット時の発電が行われ、7,100トンの二酸化炭素の削減につながるという。
また、セルビア工場で生産したタイヤを実装した車両で走行テストを行うための、直線距離720メートル、周回1,690メートルのテストコースも併設し、2023年下期には年間約500万本の生産態勢を確立、欧州市場のほか、主力の北米市場などにも供給していくという。
(鈴木秀男)
(セルビア、日本)
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