サウジアラビア、中東グリーン・イニシアチブに25億ドル拠出発表、COP27を機に
(サウジアラビア、エジプト)
リヤド発
2022年11月09日
エジプトのシャルム・エル・シェイクで開催されている国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議(COP27)の開催に合わせて、サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子(首相)とエジプトのアブドゥルファッターハ・エルシーシ大統領の共同主催による「第2回中東グリーン・イニシアチブ(MGI)」サミット(2022年10月24日記事参照)が11月7日に開催された〔11月7日付サウジアラビア国営通信(SPA)〕。
サルマン皇太子は同サミットの演説で「野心的な中東グリーン・イニシアチブの望ましい目標を達成するには、世界的な気候目標を達成し、国際協定の一部を成す実施約束を加速すべく、継続的な地域協力と加盟国による積極的な貢献が必要だ」と述べた。さらに「サウジアラビア公的投資基金(PIF)は2050年までにネットゼロ達成を目指す」とした。
同皇太子はまた、サウジアラビアにグリーン・イニシアチブ事務局を設置し、今後10年間にわたって中東グリーン・イニシアチブに25億ドルを拠出することを発表。地域の排出削減の取り組みを支援するために、NDC(2030年温室効果ガス削減目標)を拡大し、2030年までに年間2億7,800万トン(278mtpa)の二酸化炭素(CO2)を削減、2035年までに現在のNDCの15%に相当する4,400万トンのCO2を回収するため、世界最大規模のCO2回収・有効利用・貯留(CCUS)のプロジェクトを推進するとした。
中東グリーン・イニシアチブは、2030年までに排出量を60%以上削減することを目標とし、中東地域全体で6億7,000万トンのCO2に相当する温室効果ガス(GHG)の排出削減、500億本の植林や、土壌が劣化した2億ヘクタール相当の土地の再生に取り組むとしている。同イニシアチブは、中東地域の炭素排出削減への取り組みの一環として、投資ファンドとクリーンエネルギー事業向けに約104億ドルの確保を目指し、うちサウジアラビアが15%拠出、残りの資金調達やプロジェクトは、他の中東諸国や開発基金が協力するとことになっている。
(林憲忠)
(サウジアラビア、エジプト)
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