ウルグアイ、中国とのFTA交渉で輸出と投資受け入れの拡大狙う
(ウルグアイ、中国、メルコスール)
米州課
2022年11月10日
ウルグアイと中国の自由貿易協定(FTA)交渉について、ウルグアイ・カトリカ大学のニコラス・アルベルトーニ教授は10月28日、同日付インターアメリカンダイアログの広報媒体「ザ・ダイアログ」で、交渉開始日について協議していることを明らかにした。両国は2021年9月から2国間FTAに関する予備調査を行い、2022年7月13日にウルグアイのルイス・ラカジェ・ポウ大統領が同調査を完了したことを明らかにした(2022年7月15日記事参照)。
アルベルトーニ氏は、予備調査では貿易に関しては肯定的な結果が得られたとして、次のステップが正式な交渉開始であることをあらためて強調した。なお、ウルグアイが単独で第三国とFTA交渉をすることについては、他のメルコスール加盟国(アルゼンチン、ブラジル、パラグアイ)と摩擦を生む可能性がある。なぜなら、2000年のメルコスール共同市場審議会(CMC)決議32/00では、「域外の第三国・地域との『関税譲許を目的とした通商協定の交渉』は全加盟国で行う」と規定しているからだ。
ただ、同決議は、加盟各国で批准手続きが行われていないためにまだ発効しておらず、ウルグアイ政府は単独の通商交渉は可能だと主張している。これに関連してアルベルトーニ氏は、ウルグアイ政府がメルコスールの他の加盟国とともに対中FTA交渉を行うことにも前向きな姿勢を明らかにした。また、ラカジェ・ポウ大統領のイニシアチブにより、2019年6月に妥結(注1)したEUメルコスールFTA交渉を前進させ、ウルグアイ単独での、環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP、いわゆるTPP11)の加入にも前向きと述べた(注2)。対中FTAについては、ウルグアイにとって中国は輸出相手国で第1位、輸入相手では第2位であることを踏まえ(注3)、「中国はウルグアイ産品の輸出先として非常に重要」と述べ、2001年にはウルグアイ輸出のわずか5%が中国向けだったが、現在は28%が中国向けで、輸出相手国としての存在感が年々増していることを強調した。中国では、ウルグアイ産品の輸入に対し、年間約1億3,700万ドルの関税が支払われていることから、FTA発効により関税削減効果を見込む。アルベルトーニ氏はまた、中国からの投資増にも期待を寄せる。アルゼンチンやブラジルも含め、他の南米諸国と比較し、ウルグアイには対中投資拡大の余地が十分にあると述べた。
(注1)現時点で署名はまだ行われていない。
(注2)ラカジェ・ポウ大統領は、10月27日にジェトロが開催した「「日本・ウルグアイビジネスフォーラム」でもCPTPPへの加入に関心を表明。
(注3)2021年時点。出所はウルグアイXXI。ウルグアイ概況(0.0B)参照。
(辻本希世)
(ウルグアイ、中国、メルコスール)
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