カナダ、移民受け入れ計画発表、2025年に過去最多の50万人

(カナダ)

トロント発

2022年11月04日

カナダの移民・難民・市民権省(IRCC)のショーン・フレーザー大臣は11月1日、2023-2025年移民計画を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。2023年に46万5,000人、2024年に48万5,000人、2025年には過去最多となる50万人の移民受け入れを目指す。2021年は過去最多の40万5,000人の移民を受け入れており、国内の労働力不足解消に向けて、今後も積極的な受け入れを継続することを明らかにした。カナダでは移民・難民保護法に基づいて、大臣が毎年、移民計画を議会へ提出することが定められている。

計画では、経済クラスの移民の割合を2023年の57.2%から2025年に約6割まで段階的に引き上げるほか、医療、製造、建設業、STEM(科学、技術、工学、数学)など深刻な労働力不足に直面する分野で必要なスキルや資格を持つ移民を受け入れる。また、地方や農村地域など国内のさまざまな地域に移民を呼び込むべく、地域ごとの労働市場のニーズに対応した移民プログラムを拡大する。

10月末に公表された2021年の国勢調査結果では、移民の割合が全人口の23.0%と建国以来最も高く、主要7カ国(G7)の中でも最高であることが明らかになった(2022年11月4日記事参照)。IRCCによると、労働力市場の増加のほぼ全てが移民によるもので、人口統計でも、2032年までの人口増加の100%が移民によると予測されている。高齢化によって現役世代と引退世代の比率が50年前の7対1から2035年には2対1になると予想される中、労働力の確保は重要課題となっている。

フレーザー大臣は「今回の移民計画は、企業が必要とする労働力確保の一助となり、カナダを長期的な成功に導き、暴力や戦争、迫害から逃れてきた弱い立場の人々に対する取り組みにもつながるものだ」と述べた。

ただし、経済界はさらなる経済移民受け入れを期待していたようだ。日本の経団連に相当するカナダビジネス協議会(BCC)のゴールディ・ハイダー理事長兼最高経営責任者(CEO)は同日、移民受け入れ拡大を歓迎するとしながらも、フレーザー大臣宛ての書簡で、2023~2025年の移民計画で総移民数の65%を経済クラス申請者に割り当てることを提案していたとして、「残念ながら、発表された計画では、経済クラスの移民は全体の58.5%にすぎない。これはカナダ人の高い生活水準を支えるために必要な数よりはるかに少ないものだ」とコメントした。

(飯田洋子)

(カナダ)

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