米NIAID所長、新型コロナ後遺症に警告、CDCは後遺症の細分化データ発表

(米国)

ニューヨーク発

2022年10月24日

米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)のアンソニー・ファウチ所長は10月17日、英紙「ガーディアン」の独占インタビューで、新型コロナウイルス感染の長期にわたる後遺症が数百万の人々にとって公衆衛生上の「陰湿」な緊急事態となっているため、新型コロナの収束宣言を早まってはならないと警告した。

ファウチ氏は、新型コロナの後遺症によって「身体の機能が著しく損なわれている人々がいるにもかかわらず、(この問題は)死亡率ほど注目されていない」としている。また、後遺症の治療方法は現在のところ未解明なために「暗闇を泳ぐようなもの」だとし、米議会に対して、現状に満足せず、新型コロナ感染対策と未解明の後遺症への対策に資金提供を再開するよう促した(「ガーディアン」紙10月17日)。ジョー・バイデン大統領は9月に出演した米テレビCBSの番組で「パンデミックは終わった」と発言していた(2022年9月21日記事参照)。

米疾病予防管理センター(CDC)が10月5日に更新した新型コロナの長期的後遺症に関する研究結果外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、9月26日時点で米国の新型コロナ感染歴がある人のうち約30%が後遺症を患ったと答えている。年齢別では50代が最も多い33.9%、続いて40代の31.9%となっている。また、同日時点で後遺症を患っていた人のうち約25%が極度の活動制限に陥っているとした。CDCは同研究結果で、年齢別のほか州別、人種別、学歴別、性別などに分けた数値も発表している。

CDCによると、このデータは、全米健康統計センター(NCHS)が米国勢調査局(Census Bureau)と提携して、新型コロナの影響を計る「世帯パルス調査(Household Pulse Survey)」に実験的に新型コロナの長期的後遺症のまん延状況を計るため細分化した問診を追加した結果としている。

国勢調査局によると、世帯パルス調査は同局が複数の連邦政府機関と提携し、新型コロナが米国世帯に及ぼす社会的・経済的な影響について、迅速かつ効率的にデータ化したもので、データは連邦や州の対応計画に情報提供することを目的に、ほぼリアルタイムで報告されるとしている。

(吉田奈津絵)

(米国)

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