成都市、新型コロナ対策の外出制限の中、官民が生産維持に苦心

(中国)

成都発

2022年09月06日

中国四川省成都市で、新型コロナウイルス感染者が急拡大したことを受け、同市政府は91日から全市民に対して外出を制限する通達を発出(2022年9月2日記事参照)、5日現在、事実上の都市封鎖に準じた措置が継続している。市内に製造拠点を構える日系製造業各社はその対応を迫られている。

成都市では7月から電力不足による節電要請で各工場の稼働率が低下していた。8月に入ると電力需給逼迫が深刻化、市政府による稼働停止要請により、各工場は約2週間の稼働停止を余儀なくされ、在庫がほとんどない状況となったところもある。今回の全市民への外出制限措置は、電力不足による工場停止要請が解除された矢先のことで、各工場は関連のサプライチェーン維持に苦心している。

市内に工場を持つ日系自動車部品メーカーでは、91日から全従業員の約7割に相当する600人ほどが工場内に泊まり込み、通常時の8590%の稼働率を保っているという。こうした対応により、納入先の完成車工場への部品供給を維持している。同社では泊り込む従業員のため、工場内に複数のシャワー設備を急造するなど、労働環境整備を図りつつ生産維持のための努力を続けている。

1日時点で在庫に比較的ゆとりのあった日系の素材メーカーや設備メーカーなどは、5日まで工場稼働を停止しているところがある。ただし、このまま稼働停止が続けば納入先の生産にも影響を及ぼすため、工場稼働(出勤のための外出)を認めてもらうべく、政府へ働きかけなどを始めている。

現地報道によると、成都市政府は市民への外出制限を要請しつつ、製造業サプライチェーンへの影響を最小限に抑えるため、工場に対して物資支援やPCR検査員派遣、通行許可発行など生産活動に必要な行政サービスなどに便宜を図り、工場を感染防止単位と位置付け、外部とは遮断しつつも、内部では生産活動を継続できるよう各種の行政措置を開始した(「成都商報電子版」95日)。この措置は現地で「防疫バブル管理方式」と呼ばれる。92日午後4時時点で市内の2,000社以上の企業がこの方式で生産活動を行っているという。

(森永正裕)

(中国)

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