ハンガリー国立銀行、インフレ抑制へ政策金利を7.75%に大幅引き上げ

(ハンガリー、ウクライナ、ロシア)

ブダペスト発

2022年07月01日

ハンガリー国立銀行(MNB、中央銀行)は6月28日の月例政策会議で、政策金利の大幅引き上げを決定し、 翌29日から適用するとした外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。これまでの5.90%から7.75%へ一気に1.85ポイント引き上げた。2021年6月に引き上げが始まって以来、最大の上げ幅(添付資料図参照、2021年6月28日記事参照)。

MNBは、今回の引き上げ決定の理由として、インフレリスクが過去3カ月でさらに高まったことを挙げている。ロシアによるウクライナ侵攻の影響で、世界的に商品・エネルギー価格が上昇を続けており、コンテナ不足など供給面の混乱がこれに拍車をかけている。5月のインフレ率(対前年同月比)は10.7%に達した。中でも食料品価格が20%以上の上昇を記録し、今回の上昇分のほぼ半分を占めている。MNBは「今後のエネルギー、商品、食品の価格上昇は、国内のインフレ率をさらに高める可能性がある」と分析している。

物価の動きは2022年秋にピークを迎え、その後は徐々に低下、2023年末にはMNBの設定許容範囲内(3%かつ上下1ポイント幅)に戻ると予想されている。しかし、予想インフレ率は2022年が11.0~12.6%、2023年が6.8~9.2%に、それぞれ過去の予想から引き上げられた。

今回の決定で、オーバーナイト預金金利も1.35ポイント引き上げて7.25%に、オーバーナイトと1週間物の担保付貸出金利も1.35ポイント引き上げ、10.25%になった。MNBは、金融・商品市場の短期的なリスクの高まりによって正当化される場合には、1週間物の預金商品の金利を変更することによって、引き続き迅速かつ柔軟に対応する用意があるとした。

今後の見通しについて、MNBは「金融市場のリスク動向を継続的に監視し、必要に応じて金融政策のあらゆる手段を用いて柔軟に介入を行う。インフレ見通しが中央銀行の目標値付近で安定し、インフレリスクが均衡に戻るまでは、今後も継続的に政策金利の引き上げを行う」としている。

(バラジ・ラウラ)

(ハンガリー、ウクライナ、ロシア)

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