インフレ受けて緊急家計支援法案を閣議決定

(フランス)

パリ発

2022年07月12日

フランス政府は77日、総額200億ユーロの緊急家計支援法案外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます閣議決定外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同法案は国民の生活水準と消費者の保護、エネルギー主権の確保に向けた政策措置から成る。

まず、2022年のインフレ率は1985年以降で最高の5%に達すると予測し、これに対応するため、7月から年金や生活保障手当などを4%、公的住宅手当の個別住宅手当(APL)を3.5%増額する。家賃の上昇率を10月から1年間、3.5%以内に抑制する。公営テレビ受信料(138ユーロ)を廃止し、9月から1世帯当たり100ユーロ(子供1人につき50ユーロ増額)の低所得世帯向け特別手当を支給する。

また、ガスと電力の規制価格の凍結措置と燃料価格割引制度の適用を2022年末まで延長する。ただし、後者については1リットル18ユーロセントの割引価格を10月から逓減させ、その代わりに通勤に自動車を使う就労者向けに、通勤距離や世帯構成に応じて100300ユーロの燃料手当を支給する。

給与所得者に対しては、購買力強化に向けて2021年に再導入した非課税の特別賞与(いわゆる「マクロン賞与外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」)の上限を8月から従来の1,000ユーロから3,000ユーロ(利益分配制度を導入している企業は2,000ユーロから6,000ユーロ)に増額する。法定最低賃金の3倍の額に満たない給与の所得者に対しては、2023年末までの期限付きで同賞与の上限を6,000ユーロに引き上げる。また、自営業者が支払う社会保険料を法定最低賃金レベルで550ユーロ減額する。

エネルギー安全保障の確保に向けては、ルアーブル港に設置を予定する浮体式天然ガス貯蔵再ガス化施設(FSRU)の建設と天然ガスの備蓄を加速する一方、ガスの消費抑制制度の導入を検討する。電力不足に対応するため、3月に閉鎖したモーゼル県のサン・アボール石炭火力発電所を再稼働させる。

国民議会で過半数を持たない与党連合は同法案の可決に向け、野党勢力から39票以上の賛成票を取り付ける必要がある。右派野党・共和党のオリビエ・マルレックス議員は77日付「レゼコー」紙のインタビューで、同法案成立に向け建設的に協議する方針を示した。

他方、急進右派・国民連合のマリーヌ・ルペン議員は7日、ラジオ局RTLのインタビュー番組で、家計支援措置の実施は急務であり、同法案が可決されることを望むと述べる一方、効率的で即効性があるのは燃料に係る付加価値税の20%から5.5%への引き下げだと主張した。ルペン氏は4月の大統領選で家計の購買力強化を前面に打ち出して決選投票に進んだ(2022414日記事参照)。

(山崎あき)

(フランス)

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