世界経済フォーラム主導のネットゼロ・イニシアチブ、ヒューストン水素ハブなど欧米4団体が新参画
(米国、英国、スペイン、スイス、オーストラリア)
ヒューストン発
2022年06月06日
世界経済フォーラム(WEF)は5月24日、同フォーラムが掲げる「ネットゼロに向けた産業クラスターの転換」イニシアチブに、米国のヒューストン水素ハブを含む、4つの欧米の産業クラスターが新たに参画したと発表した。
WEFは2021年11月、国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)の開催に合わせて、アクセンチュア、米国の電力研究所(EPRI)とともに本イニシチブを立ち上げた。達成が困難なセクターの脱炭素化を目指すことを目的に、産業やクラスターを横断的に捉えた取り組みを推進している。
同イニシアチブの発足段階から参画していたのは、英国のゼロ・カーボン・ハンバー(ZCH)とハイネット(2021年6月15日付地域・分析レポート参照)、オーストラリアのクウィンアーナ産業協議会、スペインのバスク・ネットゼロ産業スーパークラスターの4クラスター。今回新たに、米国のヒューストン水素ハブのほか、オハイオ州クリーン水素ハブ連合、オランダのブライトランド・サーキュラー・スペース、ベルギーのアントワープ・ブルージュ港の4クラスターが参画した。
ヒューストン水素ハブは、ヒューストン未来センターを通じて設立され、100以上の組織や企業が参画している。同ハブは、米国最大の水素生産・消費地であるテキサス州ヒューストン地域の特性を生かしてクリーン水素のコスト削減と、二酸化炭素(CO2)の排出量削減を目指すとしている。
ヒューストン未来センターのブレット・パールマン最高経営責任者(CEO)は「ヒューストン地域は、低炭素社会への転換をリードするために必要な人材、専門知識、インフラを備えている」「クリーン水素およびCO2回収・利用・貯留(CCUS)は、ヒューストンが成功するための重要な技術分野で、世界のほかのエネルギー経済の模範となることができる」と述べている。
WEFによれば、これら8つの産業クラスターの取り組みにより、フランスの年間排出量を上回る3億3,400万トンのCO2を削減でき、110万人の雇用を創出し、地域のGDP創出に1,820億ドル貢献する可能性があるとしている。
(沖本憲司)
(米国、英国、スペイン、スイス、オーストラリア)
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