サプライチェーン上の人権侵害に対処する米国規制を解説、ジェトロ報告書
(米国、中国)
ニューヨーク発
2022年06月20日
ジェトロは6月17日、人権侵害に対処する上で順守すべき米国の法令などについてまとめた報告書「グローバル・バリューチェーン上の人権侵害に関連する米国規制と人権デューディリジェンスによる実務的対応」を発表した。同調査レポートでは、サプライチェーン上の人権侵害に関連する米国の規制を体系的に整理し、企業が国際規範や米国の規制を順守するために、人権デューディリジェンスをどのように実践し得るかについて解説している。
バイデン米政権は普遍的価値としての人権の尊重を重視し、企業のサプライチェーン上の人権侵害に対処する規制を強化している。米政府が取る政策手段は輸出入制限や経済制裁など多岐にわたる。そこで調査レポートでは、米国の人権関連法・規制を(1)通商関連規制(輸入規制、輸出規制、一般特恵関税制度)、(2)経済制裁、(3)人権デューディリジェンス関連規制、(4)政府調達、(5)マネーロンダリング関連規制に分類し、その概要や今後の展望などを解説している。
ビジネスと人権の問題については、企業に人権尊重を求める国際的な規範が複数のフォーラムで発展してきた。これらは米国の人権関連規制の順守にも役立つため、調査レポートでは、それら国際的な規範やガイダンスについても概説している。その上で、企業が人権デューディリジェンスに関する国際規範上の要請を満たし、米国の規制に対応するのを支援するために米政府が公表している資料やツールが人権デューディリジェンスの実践過程でどのように活用できるかを提示している。
米国では2021年末に、中国の新疆ウイグル自治区が関与する製品の輸入を原則禁止する法律〔ウイグル強制労働防止法(H.R. 6256、UFLPA)〕が成立した(2021年12月23日記事参照)。UFLPAに基づく輸入禁止措置は6月21日に有効となり、米国税関国境保護局(CBP)は同日から同法執行を開始する予定だ。CBPは6月13日、UFLPAに関する輸入者向けの運用ガイダンスを公表した(2022年6月14日記事参照)。同ガイダンスでは、サプライチェーン・デューディリジェンスを実施する上での参考資料として、調査レポートでも取り上げた米政府や国際機関のガイダンスやツールなどを挙げている。
(甲斐野裕之)
(米国、中国)
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