航空旅客数が新型コロナ感染拡大前の4割に回復、日本の出張者数は未だ限定的か

(シンガポール)

シンガポール発

2022年05月12日

シンガポールのS・イスワラン運輸相は5月4日、4月1日からの渡航規制の緩和により、チャンギ空港を利用する航空旅客数が4月末時点で新型コロナウイルス流行前の約40%まで回復したと指摘した。チャンギ空港の3月の航空旅客数は約114万人と、新型コロナウイルス流行前の18%程度にとどまっていた。

同国では国内の感染状況の沈静化を受けて4月1日から、全てのワクチン接種完了者について基本的に隔離なしの入国が可能だ。また、同月22日から、13歳以上のワクチン接種完了者であれば入国2日前の検査を免除するなど、渡航規制を大幅に緩和している(2022年4月26日記事参照、注)。イスワラン運輸相は、航空旅客数が2022年中にも、新型コロナウイルス流行前の少なくとも50%にまで回復するという目標を達成する見通しだと述べた。

一方、「ビジネス・タイムズ」紙(4月28日付)によると、5月にチャンギ空港へ新たに約200便の乗り入れが許可されれば、空港の旅客対応能力が2019年の水準の50%近くまで回復する見通しだ。同200便の多くがマレーシアの格安航空エアアジアや、シンガポール航空傘下の格安航空スクートとなる。

日本人出張者の本格回復は、時間がかかる見通し

一方、旅行関係者によると、4月の時点で日系企業の出張者数は、大きく回復していないもようだ。シンガポールと日本間の航空便についても、旅客の中心が日本人駐在員の帰任や赴任、シンガポールから東京経由で米国に向かう旅客だという。また、日系旅行会社の一部では、シンガポールから東南アジア近隣の国々への出張需要が増加傾向にあるものの、本格回復まで時間がかかるとの見方もある。日系旅行会社A社はその理由として、「(出張しなくても)リモートで対応可能なことや、渡航先でコロナに感染すると帰国が容易にできないことへの不安もある」と指摘した。

(注)ワクチン接種者のシンガポール入国時の具体的な手続きを記したチェックリストはICAのホームページ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます参照。

(本田智津絵)

(シンガポール)

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