上海市、6月中下旬の正常化へ向け3段階の対応方針を示す

(中国)

上海発

2022年05月18日

上海市の宗明副市長は5月16日、同市の新型コロナウイルスに関する記者会見外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、同日午前の時点で、市内16区中15区が「社会面」の「ダイナミックゼロコロナ」を実現したと発表した。市内の「封控区」(注1)対象区域の居住者数は100万人以下まで減少、15日の新規感染者数は3月中旬以来初めて1,000人を下回った。なお、上海市は5月中旬までに新型コロナの「社会面ゼロ」(注2)目指すとしており(2022年5月17日記事参照)、15日時点で「社会面」の感染者数は2日連続ゼロとなったとしている。

同市政府は専門家の意見を踏まえ、今後の新型コロナウイルスの予防・管理方針について、3段階の対応方針を策定したことを明らかにした。各段階の方針は以下のとおり。

第1段階は、「ダイナミックゼロコロナ」の成果を強化する段階。5月16日から21日まで、主に新規感染者数の減少、リバウンド防止、「封控区」と「管控区」の対象居住者数の持続的な減少を目指す。さらに「防范区」を段階的に開放し、制限付きで人の移動を認め、効率的に感染を予防・管理することによって、最低限の社会活動を維持する。

第2段階は、常態的な新型コロナウイルスの予防と管理への切り替え段階。5月22日から31日まで、1日当たりの新規感染者数を一層減少させるとともに、「封控区」と「管控区」の範囲を縮小し、最終的には解除する。新型コロナウイルスの予防と管理については、常態化に向けたレベル別管理への転換を加速する。

第3段階は、正常な生産と生活秩序にむけた回復段階。6月1日から同月中下旬まで、厳格なリバウンドの防止とリスクコントロールが可能な前提の下、新型コロナウイルスの予防と管理の常態化を全面的に実施し、市内の生産と生活秩序を全面的に回復させる。

また、6月中下旬の正常化に向けて、以下4つの措置を講じるとしている。

  • 「社会面」のコントロールについては、「封控区」ではエリア封鎖と自宅からの外出禁止、「管控区」では小区外(注3)への移動と集会の禁止、「防范区」では管理強化と集会の制限を実施。
  • 明確な防疫要求がある公共エリアへの出入りや公共交通機関の利用時には、48時間以内のPCR陰性証明を提示する。社区、園区、ショッピングモール、スーパー、学校、駅などに15分間のPCR検査サービスエリアを設ける。
  • 上海市内の交通について、5月16日からタクシーと自家用車はゼロコロナ地域の金山区、奉賢区など中心市街地の外側や浦東新区の関連する鎮区域内で通行可能。5月22日からバス、地下鉄は段階的に運行を再開する。上海市外を結ぶ交通については、5月16日から段階的に上海虹橋駅と上海駅の発着の列車の本数を増やし、段階的に正常運行に向けて回復を図る。今後、上海を結ぶ国内航空便も段階的に回復させるとともに、国内外航空便の搭乗率も適時調整する。
  • 公共サービスについては、公共施設の厳格な防疫措置の実施、制限と秩序ある人の移動許可、定期的な消毒、健康管理を実施するなど、効率的な予防と管理を行う。

(注1)「封控区」「管控区」「防范区」は次のとおり。

  • 「封控区」:直近7日間に感染者が報告された小区(住宅エリア)。住民は7日間の封鎖管理、その後7日間の自宅健康管理下に置かれる。 封鎖管理期間中は住居から出ることができない。自宅健康管理期間中は住居から出られる一方、小区を出ることはできない。
  • 「管控区」:直近7日間に感染者が報告されていない小区。住民は7日間の自宅健康管理となり、小区を出ることはできない。
  • 「防范区」:直近14日間に感染者が報告されていない小区。行政区域内(街道、鎮)での適切な活動は可能。「封控区」「管控区」への移動は避ける。

(注2)「社会面ゼロ」とは、行政区単位で社会面(管控区、防范区、非閉鎖管理の社会流動人員などを含む)の陽性感染者数が3日連続してゼロになる状態。

(注3)中国民政部は「一定地域の範囲内に住む人々によって構成される社会生活の共同体」と定義。都市部の最も基礎的な行政区画単位。

(宋青青)

(中国)

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