バイデン米政権、エタノール混合ガソリンの夏季販売を解禁、ガソリン価格抑制狙う

(米国)

ニューヨーク発

2022年04月13日

米国のバイデン政権は4月12日、エタノールを15%混合したガソリン(E15)の夏季販売を許可することを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。トウモロコシなどに由来するエタノールを混合したガソリンは通常のガソリンに比べて1ガロン(約3.785リットル)当たり約10セント安価とされるが、高温下の使用ではスモッグを発生させる危険性があることから、夏季の使用はこれまで禁止されていた。同日発表された消費者物価で、ガソリンは前月比18.3%と急上昇しており(2022年4月13日記事参照)、安全面に十分配慮した上でガソリン価格抑制を狙う。

E15の販売が解禁される期間は6月1日から9月15日。国内2,300カ所のガソリンスタンドで販売されているが、これまでは販売が禁止されていた上記期間でもE15購入が可能になると見込まれる。最近のガソリン高の影響から、より安価なE15の販売は好調で、再生可能燃料協会によると、2021年の国内販売量は前年比62%増の8億1,400万ガロンと過去最高を記録している。2022年に入ってもガソリン高が続くことが見込まれる中、E15の需要は引き続き底堅いことが予想される。一方、安全面への懸念については、環境保護庁と州政府が協力して、夏季期間中に大気の質に重大な影響がないか確認を行うとしている。また、バイオ燃料生産者に対して7億ドルの支援を行うほか、安全性を高めるために給油・流通施設などバイオ燃料関係インフラに1億ドルを支援することも発表した。

4月12日時点の国内の平均ガソリン価格は1ガロン4.1ドルと、3月平均の4.3ドルからはやや落ち着いてきているものの、ウクライナ情勢の変化による原油先物の一時期の急騰による影響はこれからガソリン価格に表れてくるとみられる。そのため、11月の中間選挙を控えるバイデン政権にとって、ガソリン価格の抑制は最重要事項だ。今回の措置もその一環と考えられるが、期待される価格抑制効果は1ガロン10セント程度と決して大きくはない。価格要因の大部分は需給で決定されることから、バイデン政権は日量100万バレルを半年にわたって放出することを決定しているほか(2022年4月1日記事参照)、石油会社に対しては、未使用の掘削許可済み公有地の手数料徴収をちらつかせながら、増産を再三求めている。ロシア産原油の長期的な供給縮小が確実となる中、こうした措置がどこまで供給縮小を補い、ガソリン価格をはじめエネルギー価格の上昇を抑制できるか、今後の動向に注目が集まる。

(宮野慶太)

(米国)

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