米商務省、ロシア航空大手3社に輸出管理規則違反の罰則を発令

(米国、ロシア、ウクライナ)

ニューヨーク発

2022年04月08日

米国商務省産業安全保障局(BIS)は4月7日、米国の輸出管理規則(EAR)に違反したとして、ロシアの航空大手3社の輸出特権を180日間停止する暫定拒否命令(TDO)を発令した。

商務省のプレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、対象となるのはアエロフロート、アズールエア、UTエアの3社。輸出特権が停止された場合、対象事業体はEARに従属する取引に参加できなくなる。BISはロシアによるウクライナ侵攻が勃発して以降、ロシア向けの輸出管理を強化しており、航空機に関しては、米国製航空機や、25%を超える割合で米国製品を含む外国製航空機が、ロシアの個人・事業体により所有・運営する、またはロシアに輸出する場合は、BISの許可が必要としていた。また、3月18日には、EARに違反してロシアに入国した航空機を特定してリスト化、3月30日には同リストを更新しており、現在合計161機が掲載されている(2022年4月1日記事参照)。これらの航空機に対して、BISの許可なくサービスを提供した場合、所在地にかかわらず、EAR違反のリスクを負い、禁錮や罰金などの法執行の対象になり得る。

商務省は今回のTDO発令について、ロシア向けに強化したEAR違反に対する最初の執行事例であり、TDOはEARの民事罰の中でも最も厳しい措置の1つとしている。3社をTDO対象にした理由については、BISの許可なくEAR対象の航空機を運行したためとしている。例えば、アエロフロートについては、EAR対象の航空機をモスクワと北京、ニューデリー、アンタルヤ、ドバイなどとの間で運行させた点を挙げている。国内運行にも許可が必要だが、無許可で行ったとしている。商務省高官によると、アエロフロートは所有航空機の全187機のうち米国製が59機、UTエアは63機のうち米国製が48機、アズールエアは34機全てが米国製で、「今回の規制の効果は深刻だ。なぜなら、航空機をメンテナンスできなければ、運行を続けることは困難だからだ」と述べている(4月7日付ポリティコ)。

なお、TDOはBISの判断で延長される可能性もある。BISがロシアとウクライナ向けに強化した輸出管理規則の内容については、同局の特設ページ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを参照。

また、添付資料に、2022年2月以降にバイデン政権が発動した対ロシア・ベラルーシ関連の制裁に関する記事リストを掲載しており、これも参照してほしい。

(磯部真一)

(米国、ロシア、ウクライナ)

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