ディーセント・ワーク促進へ、ILO議定書を批准

(マレーシア)

クアラルンプール発

2022年03月25日

マレーシアは3月21日、ILOの1930年強制労働条約(第29号)の2014年議定書(注)を批准した。同議定書は、強制労働の防止、被害者保護、補償などの救済を得る機会の提供、などに対する実効的な措置を加盟国に求める条約だ。

スイス・ジュネーブを訪問中のサラバナン・ムルガン人的資源相は「マレーシアは、2014年議定書を批准する国としてアジア太平洋の中では5番目、ASEANの中ではベトナムと並び2番目となる」とした上で、批准は「マレーシアの社会正義を推進し、ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)を促進する道を開く」と述べた。

ILOは、強制労働を「ある者が処罰の脅威の下に強要され、かつその者が自ら任意に申し出たものではない一切の労務」と定義する。同人的資源相は「強制労働は人権侵害で、とりわけ労働の観点から人間の苦痛が容認されるべきでないとの原則を支持する」と強調した。

マレーシアは、米国務省が発表する「人身取引報告書」2021年版において、強制労働問題、とりわけ外国人労働者に対する取り扱いが問題視され、4段階評価で最低となるティア3へと7年ぶりに引き下げられていた。諸外国からの厳しい評価も背景に、マレーシアは強制労働の根絶を目的として、2021年11月に初の国家行動計画「強制労働に関する国家行動計画(NAPFL)2021~2025」を策定していた(2021年12月2日記事参照)。今回の批准は、強制労働に対抗しようとするマレーシアの強い姿勢をあらためて示すかたちとなった。

(注)1930年の強制労働条約(第29号条約)を批准済みの国を対象に、その強化を目指してILOが2014年に採択した議定書(ILO駐日事務所ウェブサイト参照外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。第29号条約本体については、マレーシアは1957年に批准。

(吾郷伊都子)

(マレーシア)

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