グリーン水素供給ハブを目指すアントワープ港をナミビア大統領が視察

(ベルギー、ナミビア)

ブリュッセル発

2022年02月18日

ベルギー連邦政府のアレクサンドル・ド・クロー首相とティネ・バン・デ・ストラーテン・エネルギー相は2月16日、ナミビアのハーゲ・ガインゴブ大統領をアントワープ港に迎え、同港の施設について紹介、ベルギーのグリーン水素に対する取り組みを説明した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。今回のガインゴブ大統領の訪問は、2021年11月に英国グラスゴーで開催された国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)に合わせて、ベルギーとナミビアの間で締結されたグリーン水素に関する覚書に基づくもの。

覚書によれば、両国はナミビアの西部に位置するエロンゴ州での大規模なグリーン・エネルギー・ハブ設立計画の実現に向けて協力する。同州は、ナミビア最大の港であるウォルビスベイ港を擁し、グリーン水素の生産と輸出の拠点となることが期待されている。ベルギーの海運大手CMBを中心に、両国企業が連携し、水素充填(じゅうてん)用施設や産業用施設、中規模の太陽光発電所の開発で協力する。2026年までに年間100万トンのグリーン水素の生産を目指し、その半分を輸出する見込み。

ガインゴブ大統領などは今回アントワープにおいて、世界初のマルチモーダル型(注)の水素ステーションも訪問しており、ベルギー政府は、一連の視察を通じ、自国がエネルギー転換において信頼に足り得るパートナーで、グリーン水素の大量輸入の体制が整っていることをナミビア側に示したい意向だ。

連邦政府は2021年に以下の4つの柱に基づく水素戦略を策定している。

  1. 欧州におけるグリーン水素の輸入・中継拠点となる。
  2. 水素技術のパイオニアになる。
  3. 水素の供給網を整え、入手を容易にすることで強固な水素市場を創出する。
  4. 企業や政府、近隣諸国など様々な関係者のノウハウを集結させる。

アントワープ港は、チリとグリーン水素の大陸間輸送の実現に向けた覚書を締結(2021年11月10日記事参照)するなど、国内外のパートナーと共に、欧州地域に水素などのグリーンエネルギーを供給するハブとなることを目指している。

(注)CMBグループがアントワープに設置した水素ステーションで、船舶に加え、チューブトレーラー、バスなどの大型車両への水素充填にも対応した施設。

(大中登紀子)

(ベルギー、ナミビア)

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