ジョコ大統領、国連総会演説で包括性の重要性を強調

(インドネシア)

ジャカルタ発

2021年09月29日

インドネシアのジョコ・ウィドド大統領は9月22日、国連総会においてビデオ形式で演説外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを行った。インドネシアが議長国となる2022年のG20首脳会議(サミット)の優先項目が「包括性(インクルーシブネス)」であることに触れつつ、「新型コロナ禍」からの経済回復や環境問題への取り組みなどには、途上国の事情も考慮し、「誰も取り残さない」包括性が重要だと訴えた。

ジョコ大統領は演説の冒頭、世界で取り組むべき事項として、1.ワクチンや医療品などを世界で自由に流通させるための新しい仕組みの構築、2.新型コロナウイルス感染拡大の収束と経済回復、3.環境問題対策としての、発展途上国を参加させるかたちでのエネルギー・技術革新プロセスの推進、4.差別や紛争などへの厳格な対応、の4点を挙げた。

「1.」に関しては、新型コロナウイルスワクチンが政治の道具として利用されていることや、ワクチン接種が世界で平等に進んでいないことに懸念を示し、「具体的な解決策を提示することが重要」と述べた。「4.」について、(1)女性の社会的排除、(2)アフガニスタンにおける暴力行為、(3)パレスチナにおける独立問題、(4)ミャンマーにおける政治的危機の4点を、世界の共通アジェンダとして認識すべきと訴えた。

特にミャンマー情勢に関しては、ASEAN首脳級会議をジャカルタで行い、「5項目の合意」(2021年4月27日記事参照)を結んだことに言及しつつ、ミャンマー国軍による合意の履行が重要だと指摘した。

2022年のG20議長国テーマでも包括性を重視

演説の終盤、ジョコ大統領は2022年にインドネシアがG20議長国であることに触れ、テーマは「Recovery Together, Recover Stronger(共に回復し、共に強くなる)」だと述べた。包括性を主な優先事項としつつ、グリーン・持続可能な経済も重視するとした。インドネシアにおける成果として、2020年は前年比で森林火災が82%減少したことや、森林破壊のペースが過去20年で最も遅くなったことをアピールした。

(上野渉)

(インドネシア)

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