米国で拡大するゴーストキッチン、「ドアダッシュ」は2拠点目をオープン

(米国)

サンフランシスコ発

2021年08月10日

米国のオンデマンドフードデリバリーサービス企業のドアダッシュ(本社:カリフォルニア州サンフランシスコ、注)は7月29日、カリフォルニア州サンノゼ市内のショッピングモール内に、複数のレストランブランドを集め、料理のピックアップデリバリーを専門に行う拠点「ドアダッシュキッチン」を期間限定でオープンした。

ドアダッシュキッチンでは、複数のレストランに調理スペースを提供する。今回サンノゼにオープンした拠点では、韓国料理やインド料理などを含む6つのレストランと提携。サービス対象地域に住む顧客は、ドアダッシュのアプリやウェブサイトから各レストランの料理の宅配または持ち帰りの注文ができる。サンフランシスコやロサンゼルスなどサンノゼから離れた場所に所在するレストランも参画しており、サービス対象地域の消費者はこれまでデリバリーで注文できなかった料理にアクセスできるようになる。一方、レストラン側はドアダッシュキッチンを利用することで、新たな店舗を設けることなく、コストを抑えながら、営業範囲を広げることができる。

同社は既に、2019年に北カリフォルニアのレッドウッド市に同様のコンセプトの施設を構えている。同施設では、レストランにスペースを提供するにとどまっていたが、今回オープンしたサンノゼの施設では、レストランの営業支援機能を拡充する。具体的には、ドアダッシュが主導して、調理スタッフや施設マネジャー、フロントスタッフの採用や、施設の日々の運営などを行う。一方、各レストランは、施設で用意する最適なメニューの決定や、実際の店舗と同じ水準の料理を提供できるようにスタッフの訓練などを行う。

ドアダッシュキッチンのように飲食スペースがなく、デリバリーやピックアップを前提に料理を提供するサービス拠点は「ゴーストキッチン」と呼ばれる。ドアダッシュのほかにも、キッチン・ユナイテッド(カリフォルニア州パサデナ)やクラウドキッチン(カリフォルニア州ロサンゼルス)などが類似のサービスを展開している。

不動産サービス大手CBREによると、米国のレストラン売上高に占めるゴーストキッチンの割合は、2025年までに約2割に達する見込みだ。

写真 サンノゼ市にオープンしたドアダッシュキッチン(ジェトロ撮影)

サンノゼ市にオープンしたドアダッシュキッチン(ジェトロ撮影)

(注)ドアダッシュは、2021年1月にジェトロの対日投資事業を活用して日本法人を設立している。詳細はジェトロ・ウェブサイト参照。

(石橋裕貴)

(米国)

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