米加州知事リコール選挙、9月14日に実施へ

(米国)

サンフランシスコ発

2021年07月05日

米国カリフォルニア州のエレニ・クナラキス副知事は7月1日、ギャビン・ニューサム知事(民主党)解職の是非と後任知事を決める住民投票(リコール選挙)を9月14日に実施すると発表した。知事解職を求める投票が過半数となった場合、後任を選出する(注1)。同知事のリコール選挙については、州務長官が4月にリコール投票を求める有効署名数が規定数を上回ったことを発表し、実施に向けて手続きが進められていた(2021年4月30日記事参照)。

カリフォルニア州議会では6月28日に、リコール選挙の早期実施を可能にする法案(SB 152)が、上下両院で圧倒的優位に立つ民主党(注2)の賛成多数により可決したばかりだった。ニューサム知事が同日に署名し、同法は成立、直ちに施行された。同法に基づき、リコール選挙の実施手続きが短縮された結果(注3)、7月1日付で実施日が設定された。

「新型コロナ禍」からの経済再開が進み、州知事の支持に向かいやすい状況で、ニューサム知事にとっては、リコール選挙を早期に実施した方が有利になるとの見方が強い。カリフォルニア州は6月15日に経済を全面的に再開し(2021年6月18日記事参照)、12歳以上の新型コロナウイルスワクチンの接種完了率も59.6%(7月3日時点)に達する。カリフォルニア公共政策研究所(PPIC)が2021年5月に発表した世論調査によると、州住民の約6割がリコール選挙で「現州知事続投に投票する」と回答した(注4)。

ニューサム知事の認定後任候補者一覧は、州務長官が7月21日までに発表する。非営利政治・選挙情報サイトのバロットペディアによると、現時点でサンディエゴ前市長のケビン・ファルコナー氏(共和党)や元オリンピック選手のケイトリン・ジェンナー氏らを含め70人以上が立候補を表明している。

(注1)リコール選挙では、投票者に(1)現知事解職の是非、(2)解職する場合、どの候補者を後任に選ぶかを聞く。

(注2)2021年7月時点で、民主党は上院40議席のうち31議席、下院80議席のうち59議席を占める。

(注3)議会合同予算委員会は州財務局が見積もったリコール選挙実施にかかわる予算を最大30日かけて審査するが、SB 152の成立により、州務長官はこの審査を待たずに、リコール選挙実施条件を満たす数の有効署名が提出されたことを正式に認定することができる。副知事はこの正式認定を受け、実施日を設定する。

(注4)調査実施期間は2021年5月9~18日。対象者は18歳以上の州住民1,705人。

(田中三保子)

(米国)

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