VW、ノースボルトに約6億ドル追加出資
(ドイツ、スウェーデン)
ミュンヘン発
2021年06月16日
ドイツ自動車大手のフォルクスワーゲン(VW)は6月9日、スウェーデンのノースボルトの増資に際し、6億2,000万ドルを追加出資することで、今後も約2割の持ち分比率を維持すると発表した。
ノースボルトの発表によると、同社は今回、総額27億5,000万ドルを増資する。調達資金は蓄電池の生産拡大と研究開発の強化に充てる。具体的には、ノースボルトがスウェーデン北部シェレフテオに建設中のリチウムイオン電池セル工場の生産能力を年間40ギガワット時(GWh)から60GWhに拡大する。ノースボルトは2030年までに欧州での年間生産能力を150GWh以上にすることを目指す。
VWは2019年、ノースボルトに約9億ユーロを出資、株式の約2割を得た。VW向けの高級車用セルはシェレフテオ工場で2023年に生産開始の予定で、同社向けの生産能力は年間40GWhまで段階的に拡大する見込み。シェレフテオ工場自体は2021年後半に生産を開始する予定だ。
VWは2019年6月、同社とノースボルトとの合弁会社がドイツ北部のニーダーザクセン州ザルツギッターで蓄電池工場を設立すると発表した(2020年8月24日記事参照)。今回の発表では、ザルツギッター工場の操業開始は2025年で、量販車用セルの生産能力は年間40GWhに達する見込み。「南ドイツ新聞」(2021年6月9日)によると、同工場はVWのみで操業するもよう。VWは2021年3月、欧州で6つの蓄電池工場を2030年までに稼働させると発表しており、6工場には上記ノースボルトのシェレフテオ工場、ザルツギッター工場を含む。VWは、他の4工場の候補地やパートナーについて「検討中」としている。
VWは2030年までの同社の電気自動車(EV)販売台数を約2,600万台、ハイブリッド車を約700万台と見込む。この販売台数を達成すべく、2030年までに70モデルのEVを市場投入する(2020年11月24日記事参照)。また、ダイムラー(2021年3月23日記事参照)やBMW(2020年12月1日記事参照)も電動車の生産を進めるとしており、EVの基幹部品である蓄電池への需要はさらに増えると見込まれる。ノースボルトによると、同社は既にVWやBMWなどから270億ドルを超える契約を得ているという。
(クラウディア・フェンデル、高塚一)
(ドイツ、スウェーデン)
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