米テスラ、中国にデータセンター設置

(中国、米国)

北京発

2021年06月01日

米国の電気自動車大手テスラは5月25日、中国市場で販売した車両から収集した情報を保存するデータセンターを中国国内に設置したと発表した。テスラは今後も中国でデータセンターを増やし、中国市場で販売した全ての車両から発生するデータを中国内で保存すると説明した。また、同社は「自動車のデータセキュリティーは非常に重要だ。統一的かつ規範化された管理がスマート車の今後の秩序ある発展にとって有利と信じている」と表明している。

中国では「重要データ」の国内保存や国外移転時の安全評価を義務付ける動きがみられる。全国人民代表大会常務委員会は4月29日に「データセキュリティー法」2次草案を発表し、5月28日まで意見募集を実施した。2次草案では、「重要データ」の越境移転に関して「重要情報インフラ運営者が中国国内で業務上収集・生成した『重要データ』の対外的な安全管理については『サイバーセキュリティー法』の規定を適用し、その他のデータ処理者が中国国内で業務上収集・生成した『重要データ』の対外的な安全管理方法については、国家インターネット情報部門が国務院の関連部門と共同して定める」と規定した。

また、国家インターネット情報弁公室は5月12日、道路上の車両の種類や交通量などの「重要データ」の取り扱いに関して規定した「自動車データ安全管理規定」の草案を発表した(2021年5月26日記事参照)。同規定では、「個人情報」と「重要データ」について国内に保存するよう義務付け、これらのデータを国外に持ち出す場合には、国家インターネット情報部門の安全評価を受ける必要があると定めた(注)。今回のテスラの発表と同規定を関連付ける報道も出ている。

(注)同規定で「個人情報」とは、車の所有者や運転者、同乗者、通行人などの情報や、個人の身元推定や個人の行動説明が可能となるような各種の情報と定義している。「重要データ」としては、(1)軍事管理区域、国防などの国家機密に関わる機関、県レベル以上の党・政府機関などの重要・機微なエリアでの車・人の交通データ、(2)国が公開している地図よりも精度が高い測量データ、(3)充電ネットワークの運行データ、(4)道路上の車両の種類、交通量などのデータ、(5)顔認証や音声認識、ナンバープレートなどのデータ、(6)国家インターネット情報部門と国務院関連部門が明確にする、国家安全や公共の利益に影響を及ぼす可能性のあるその他のデータを挙げている。

(趙薇)

(中国、米国)

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