米USTR、医療製品に関わる対中追加関税の除外措置を9月末まで延長
(米国、中国)
ニューヨーク発
2021年03月10日
米国通商代表部(USTR)は3月5日、1974年通商法301条に基づき発動済みの対中追加関税について、適用除外を延長すると公表した。延長されるのは、2020年末に除外措置を受けた99品目(2021年1月4日記事参照)で、マスクや湿布、外科手術器具など、新型コロナウイルス対策を目的とした医療製品の一部に限定される。正式には3月10日の官報で公示される。
適用除外は、3月31日が当初の有効期限とされていたが、今回の発表により、2021年9月30日まで延長され、中国からの輸入に本来課される最大25%の追加関税(注)が免除される。手続きについては、税関国境保護局(CBP)が今後、発表する。なお、これまでに発表された各リストの品目別適用除外制度の概要と、各リストの適用除外対象品目の発表日および詳細は添付資料を参照。
全米アパレル履物協会(AAFA)は3月5日、マスクなどの個人防護具(PPE)輸入が延長措置を受けたことから、今回の発表を歓迎している。同協会のスティーブ・ラマ―会長は「われわれが新型コロナウイルスからの回復に注力する一方で、関税による生産コストや小売価格の上昇が原因で、その努力が損なわれないことも重要。今回の(USTRの)決定はそうした問題を未然に防ぐもの」と評価した。他方でラマー会長は、2020年に適用除外が期限切れとなった品目や今回対象から外れたPPEを含めて、USTRに対中追加関税の見直しを求める意向を示している。
ピーターソン国際経済研究所によると、米国はPPE輸入の48%を中国に依存しており、マスクに関しては中国が輸入の7割を占める。ジョー・バイデン大統領は、サプライチェーン強化に向けた大統領令を出しており、その中で重要品目の1つにPPEを挙げている(2021年2月26日記事参照)。
(注)追加関税率は、リストごとに異なる。除外延長となる品目の内訳は以下のとおり。
- リスト1(対中輸入額340億ドル相当の818品目、追加関税率:25%):24品目
- リスト2(対中輸入額160億ドル相当の279品目、追加関税率:25%):10品目
- リスト3(対中輸入額2,000億ドル相当の5,757品目、追加関税率:25%):35品目
- リスト4A(対中輸入額1,114億ドル相当の3,243品目、追加関税率:7.5%):30品目
(藪恭兵)
(米国、中国)
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