ジェトロ、日英EPA発効後、初のセミナーを開催
(日本、英国)
欧州ロシアCIS課
2021年02月03日
ジェトロは1月21日、日英包括的経済連携協定(日英EPA)の概要と利用に関するオンラインセミナーを開催し、ジェトロ海外調査部欧州ロシアCIS課の田中晋課長と、財務省・税関 EPA原産地センターの太田陽子原産地調査官が、それぞれ輸出時、輸入時における日英EPAの特恵関税利用の留意点について解説した。
日英EPAが2021年1月1日に発効した以降、ジェトロが開催した初めての日英EPAに関するオンラインセミナーとなったが、オンラインセミナーの冒頭、実施した参加者向けの事前アンケートでは、回答した視聴者の約1割強が「既に日英EPAを利用」、約8割が「まだ利用していない」と回答した。また、同じく回答した視聴者の約8割が英国への輸出をしており、約2割が英国から輸入をしているとし、そのうち、約8割以上の回答者が「日英EPAの利用を検討している」とした。
講演ではまず、ジェトロの田中課長が、日英EPAの概要と日英EPAを利用した輸出時における留意点について解説した。日EU・EPAにおいては、関税率の段階的削減の対象となっている、鉄道用車両・部品、自動車部品などの一部品目について、日英EPAでは新たに即時撤廃されるなど、日英EPAの関税削減効果を説明した。ただし、留意点として、EUの対外共通関税率を一部品目で引き下げる英国の実行関税率(UKグローバル・タリフ)が2021年1月から適用されたことにより、日英EPAの税率よりも英国の実行関税率の方が低い「逆転税率」が発生している点を指摘。このような品目は、日英EPAの特恵関税を使う必要がないため、英国側の関税率も確認の上、EPAの利用を判断する必要がある。さらに、品目別原産地規則(PSR)について、日EU・EPAから緩和されている項目があり、例えば、うどんや米菓に関して、日EU・EPAでは、生産に使用される非原産材料の割合が制限されていたが、日英EPAではこの制限がなくなり、関税分類変更基準のみとなった点などを紹介した。
税関 EPA原産地センターの太田氏は、日英EPAの利用における輸入時の留意点について解説した。まず、日英EPAの原産地規則より、原産品申告書への記載が必要な事項や、日EU・EPAと違いのある部分について説明した。原産品申告書の記載に当たっては、最終産品の品目コード(HSコード)の確定が重要な要素となるとし、原産品の要件、累積、許容限度、変更の禁止などについて解説。さらには、輸入時の通関手続きや、輸入者と輸出者・生産者に対する事後確認の仕組みについても説明した。日英EPAに関する「よくある質問」など、税関ホームページの原産地規則ポータルにも関連情報が掲載されている。
本オンラインセミナーのアーカイブ映像については、ジェトロの日英EPA特集ページにおいて近日中に公開する予定。
(土屋朋美)
(日本、英国)
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