消費者支出が大きく上昇、米シカゴ連銀ベージュブック報告

(米国)

シカゴ発

2020年07月22日

米国連邦準備制度理事会(FRB)は7月15日、地区連銀経済報告(ベージュブック)(注1)を公表した。ベージュブックの中で、米国中西部の一部地域(注2)を管轄するシカゴ連銀は、2020年5月下旬から6月にかけての同地域における経済活動について、力強く(strongly)向上したが、依然として新型コロナウイルスまん延以前の水準を下回る、と報告した。本報告の調査対象者からは、今後数カ月における一層の経済回復を期待する声が聞かれたが、完全な回復は2021年の後半までみられないとする意見が大半だ。

経済活動を分野ごとにみると、雇用者数、消費者支出、製造業の活動は大幅に(substantially)上昇し、企業支出、建設業および不動産業の活動は控えめに(modestly)上昇した。特に、消費者支出については、経済再開による商店などの営業再開により、調査対象者の予想を上回り、大きく上昇した。こうした中で小売店全般において消費が戻っているが、アパレル関係の消費は弱い状況となっている。製造業全般についても、工場の操業再開が進んだことによって大きく回復した。

賃金は少しずつ上昇し、物価はやや下落している。金融サービスについては、給与保護プログラム(PPP)の受付が落ち着きをみせたため、控えめに(modestly)悪化した。農業所得に関しては、新型コロナウイルスまん延の影響を受けているものの、農産物の価格の上昇やCARES法(注3)による損失額の補償などの支援により、回復がみられる。

なお個々の調査対象項目のポイントは添付資料参照のこと。

(注1)連邦公開市場委員会(FOMC)の開催に先立ち、年8回公表されており、銀行からの報告や、ビジネス関係者らの声を基にまとめたもの。

(注2)アイオワ、イリノイ北部、インディアナ北部、ウィスコンシン南部、ミシガン南部。

(注3)コロナウイルス支援・救済・経済安全保障(Coronavirus Aid, Relief, and Economic Security)法(2020年3月30日記事参照

(藤本富士王)

(米国)

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