米FRB、中小企業向け融資の拡充を発表、運用開始時期は未定

(米国)

ニューヨーク発

2020年05月07日

米連邦準備制度理事会(FRB)は4月30日、新型コロナウイルス対策として先に発表していた中小企業融資プログラムの拡充を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。融資の申請が認められれば1社につき最大2億ドルのローンを組むことができる。FRBの準備が整い次第、受付が開始される予定。

今回の融資策は「メインストリート融資プログラム」と呼ばれるもので、3月末に施行したコロナウイルス支援・救済・経済安全保障(CARES)法に基づき、財務省の財源750億ドルを元手にしている。対象企業は適格な金融機関や銀行持株会社などに融資を申請し、FRBは本プログラムを通じて最大6,000億ドルの融資債権を金融機関などから買い取る。連邦政府による給与保護プログラム(PPP)を受給する企業も融資を受けることができる。

本プログラムの融資対象は、従業員1万5,000人以下または2019年の売上高が50億ドル以下の企業となる。4月9日の当初発表時の条件(従業員1万人以下または売上高25億ドル以下)から緩和された形だ。PPPや他の支援策では原則、従業員500人以下が対象であるが、本プログラムでは事業規模の大きい企業も融資対象となる。その他、事業の相当部分が米国で行われ、従業員の大半が米国に常駐することなども条件となる。FRBによると、新型コロナウイルスの影響による財政状況の悪化や、融資期間内に給与・従業員維持の「合理的な努力」を行うことの証明が必要となるが、具体的な証明手続きや必要書類は明らかになっていない。

融資内容は、企業側の債務状況などによって異なるが、申請する金融機関との間に融資実績がなければ50万~2,500万ドルが融資範囲となる。融資実績がある場合には1,000万~2億ドルまで融資が受けられる。いずれの場合も、融資を受けた後の1年間は元利金の返済は猶予され、4年を返済期限として2年目以降の返済割合が定められている。金利は、ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)の1カ月物または3カ月物からプラス300ベーシスポイント(3.0%)の変動金利となる。 なお、融資を他の債務の返済や借り換えに用いることはできず、返済が完了するまでは、義務的な元本返済を除き、他の優先度の低い債務返済は控える必要がある。また、PPPのような返済義務免除の措置はない。

本融資プログラムはボストン連邦準備銀行が所管しており、また実施主体として特別目的事業体(SPV)が設立される予定。5月6日時点でボストン連銀は運用に向けて必要な環境を整備中としており、具体的な受付開始の日程は公表されていない。

(注1)具体的な制度概要や申請方法についてはジェトロ資料PDFファイル(1.0MB)FRBの特設ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを参照。

(注2)これまで連邦議会で成立した新型コロナウイルス対策法については以下を参照。

(藪恭兵)

(米国)

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