アルゼンチンの外出禁止令が5月24日まで延長

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2020年05月11日

アルベルト・フェルナンデス大統領は5月8日、オラシオ・ロドリゲス・ラレッタ・ブエノスアイレス市長およびアクセル・キシロフ・ブエノスアイレス州知事と共に記者会見を行い、3月20日から導入している公衆衛生上の緊急事態による外出禁止令を5月24日まで再び延長すると発表した。

併せて、外出禁止令の成果として、発令から50日が経過し、人との接触が大幅に減少したことによって、新型コロナ感染の拡大を抑えることと医療設備も整えることができたとも説明した。政府は、外出禁止令を緩和するためには、「感染者数が2倍になるまでの日数が25日間」となることが望ましいとしていた。外出禁止令の成果として、発令時には、感染者数は平均3.3日で倍増していたが、4月下旬には平均17.1日となり、現在は平均で25.1日になったと説明。これにより、産業や商業の再開の決定権を各州知事および市長に委ねた(2020年4月30日記事参照)。

ただし、全国で最も人口密度の高いブエノスアイレス市および近郊のブエノスアイレス州40都市で構成されるAMBA(ブエノスアイレス首都圏)では、この日数は現時点でも平均18.8日であり、緩和条件を満たしていない。

また、アルゼンチン保健省によれば、全国の感染者数(5月10日時点6,034人、うち305人が死亡)の86%はAMBAに集中していることが明らかになった。同地域における、経済活動の再開含む外出禁止令の緩和については、その都度、連邦政府に要請を行い承認が必要となる。

ブエノスアイレス市政府は、既に段階的な商業の再開案を連邦政府に提出済みであることを、5月8日の記者会見で伝えた。また、ブエノスアイレス州政府は、近日中に400~500社が活動を再開する予定であり、たばこ、金属加工、冶金、プラスチック産業などが含まれると説明した。

大統領府ウェブサイトによる今回の発表の要点は以下の通り。

  • AMBA地域を除く地方州および都市における産業および商業の活動再開は、各州知事・市長が決定権を有する。AMBAは、連邦政府の承認要請が必要。
  • 各州知事・市長は、感染拡大を抑制するための衛生上のプロトコル(手順)が守られるよう監視を行う。
  • 公共交通機関の利用は認めない(利用は、必要不可欠な業務に従事する者に限る)。工場を再開したい場合、従業員の移動手段の確保は企業側の責任とする。
  • 出勤のために外出を開始する者は、連邦保健省の自己診断・追跡アプリ「CuidAR」を携帯電話端末にインストールすることを義務付ける。
  • 次の活動やサービスは、継続して今回の緩和措置の対象とならない。学校、人が集うような娯楽・スポーツ・宗教・文化的イベント、ショッピングセンター、映画館、劇場、文化センター、図書館、博物館、飲食店、ジム、公園・広場、観光業、他都市や他国をつなぐ交通機関。
  • 外国人非居住者によるアルゼンチンへの入国禁止令も継続。居住者の外国からの入国には、15日間の強制隔離も継続する。
  • 60歳以上の者、妊婦、基礎疾患により重症化のリスクの高い者は、継続して出勤義務はない。
  • 活動再開によって、感染拡大が確認された場合、連邦政府は緩和措置を撤回できる。

(山木シルビア)

(アルゼンチン)

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