衛生防疫規則違反とフェイクニュース拡散に対する罰則を導入・強化

(ロシア)

欧州ロシアCIS課

2020年04月03日

プーチン大統領は4月1日、新型コロナウイルスの感染拡大防止に向けた隔離措置を含む衛生防疫規則違反と、国民の生活・安全に脅威をもたらし得るフェイクニュースの拡散に対して罰則を導入・強化する連邦法に署名した。

該当する法令は、2020年4月1日付連邦法第99-FZ号「行政違反基本法の修正」と同第100-FZ号「刑法と刑事訴訟法第31条、第151条の修正」の2つで、大統領の署名と同日に公示され、発効している。衛生防疫規則違反とフェイクニュースの拡散に対しては、刑事罰と行政罰の両方の対象となる(主な内容は添付資料のとおり)。

衛生防疫規則違反について、刑事罰では、刑法第236条を修正し、不用意に大規模な感染もしくは感染の危機を招き、その結果、2人以上の死亡者が生じた場合、懲役4~5年もしくは禁錮5~7年が科される。行政罰では、行政違反基本法第6.3条を修正し、非常事態や感染症拡大状況下での国民の衛生防疫確保における行政違反が、人の死亡や健康被害をもたらした場合、個人に対して15万~30万ルーブル(約21万~42万円、1ルーブル=約1.4円)の罰金、法人に対して50万~100万ルーブルの罰金もしくは90日間の活動停止を科すとしている。

フェイクニュースの拡散に対する罰則導入・強化は、新型コロナウイルスをめぐる大量の虚偽情報がインターネットやSNS上に氾濫している状況への対処が背景にある(2020年4月1日記事参照)。刑法第207条を修正し、国民の生命と安全に危害を与え得る虚偽情報を故意に拡散し、その情報によって死亡者が発生した場合、150万~200万ルーブルの罰金や5年間の懲役・禁錮刑が科される。加えて、行政違反基本法第13.15条を修正し、マスメディアおよびインターネットにおいて、国民の生活や安全などを脅かす不正確な情報の拡散した者(法人)に対して、a.人々の生活に影響を与えない内容の場合、150万~300万ルーブルの罰金、b.人の死亡につながったり、健康や財産に危害が及んだり、社会秩序の大規模な違反や、生活、輸送、社会インフラ、金融機関、エネルギー、産業、通信などの施設などの機能停止を引き起こしたりした場合、300万~500万ルーブルの罰金となるとしている。

自宅隔離措置を順守させるために、デジタル技術の活用が話題に上っている。主要経済紙「コメルサント」(4月1日)によれば、モスクワ市政府は隔離措置の対象者に対して携帯アプリやQRコードによる外出管理などを可能とする法令を準備中という。主要ビジネス紙「ベドモスチ」紙(4月1日)はデジタル発展・通信・マスコミ省が新型コロナウイルス感染者を追跡するシステムを開発したとしている。

(齋藤寛)

(ロシア)

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