財務省、中小企業の繰越欠損金計上期間の2年延長を提言

(フィリピン)

マニラ発

2020年04月30日

フィリピン財務省(DOF)は4月27日、2020年の中小企業の繰越欠損金(NOLCO)について、損失を繰り越しできる期間を2年間延長し、現行の3年間から5年間にすることを国会に提言すると発表した。同措置は、新型コロナウイルスの感染拡大により経営難に陥る中小企業の税負担軽減を目的とし、実行には内国歳入法の改正が必要となる。

DOFのカルロス・ドミンゲス長官は、3月17日からルソン島全体を対象に外出禁止や公共交通機関の停止を含む広域隔離措置(ECQ)を発動したことにより、中小企業は総額4,653億ペソ(約9,771億円、1ペソ=約2.1円)の損失が生じているとした。そのうち、4,610億ペソの損失はECQ期間中閉鎖している全国のショッピングモールの出店企業やその他小売店を経営する中小企業が被り、残り43億ペソはECQ期間中も一定の条件のもと営業を許可されている中小企業が被るとした。ドミンゲス長官は、中小企業の繰越欠損金の計上期間を3年間から5年間に延長することにより、中小企業の税負担を2025年までに1,396億ペソ軽減することができるとした。

フィリピン政府は中小企業向けの支援として、これまで以下のような制度を発表している(詳細はジェトロホームページ参照)。

  1. 金利0.5%、支払猶予期間は新型コロナウイルスに起因する経済危機の終息時点までとし、資本金300万ペソ以下の零細企業を対象に1万~20万ペソまで、資本金1,000万ペソ以下の中小企業を対象に50万ペソまで貸し付ける中小零細企業向け低金利融資制度
  2. ECQ期間中に発生した中小企業の商業用の賃料について、利息、罰金、その他料金などなしでECQ終了後6カ月に渡って均等に分割払いすることを義務付ける支払猶予制度、
  3. 新型コロナウイルスの感染拡大を受けて柔軟な勤務形態による働き方(フレキシブルワークアレンジメント)を導入したかまたは一時操業停止となった私企業に勤務する労働者に対して一人あたり5,000ペソを支給する補助制度

(坂田和仁)

(フィリピン)

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