法人税を22%に引き下げ、年間の政府債務の上限を緩和

(インドネシア)

ジャカルタ発

2020年04月08日

インドネシア政府は3月31日、法律代行政令2020年第1号(添付資料参照)を即日施行し、これまで25%だった法人税を2020年から22%に引き下げた。さらに、今後、2022年に税率を20%まで引き下げる。また同政令では、従来、国内総生産(GDP)の3%までとしていた年間の政府債務上限を、最長3年間にわたり緩和することも決めた。これらは新型コロナウイルス感染症に対する経済対策の一環として、政府が緊急的に決定したもので、今後、国会の承認を経て、正式に法律として施行される見込みだ。

法人税の引き下げを含む税制改革は、第2期ジョコ政権の目玉政策の1つとして、2020年1月には原案が示されていた(2020年1月23日記事参照)。原案では、2021年から法人税を引き下げる予定だったが、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う景気減速が見込まれることから、1年繰り上げて導入した。これにより日系企業を含む在インドネシア企業には、2020年の課税年度から、引き下げ後の法人税が適用される見込みだ。

また、同政令では、税制改革の中であわせて議論されていた、デジタル課税も導入した。これにより、インドネシアに法人格がない場合でも、電子商取引などを通じた無形の物品・サービスの取引に対して、付加価値税が課される(詳細は今後発表)。さらに、売り上げ、利用者数などの面で重大な経済的影響のある企業については、国内に恒久的施設(PE)があるとみなし、法人税も課されることになった。

年間の政府債務上限については、財政規律の観点から、従来GDPの3%としてきたが、これを緩和することで、一時的に大規模な予算措置などを可能にする。既にジョコ大統領が約400兆ルピア(約2兆6,500億円、1ルピア=約0.0066円)の追加的な予算措置を発表しており、これにより、2020年の政府債務比率はGDP比5.07%になると試算されている。

(山城武伸)

(インドネシア)

ビジネス短信 50b396f1b7edd95c