新型コロナウイルス、スリランカの観光業や建設業に影響も

(スリランカ)

コロンボ発

2020年02月28日

スリランカ保健省によると、2月24日現在で同国内において、新型コロナウイルスの感染者は1人で、同ウイルスによる死亡者は出ていない。この1人は、1月下旬に中国(湖北省)から旅行でスリランカを訪れた女性で、1月末に帰国する際に国際空港でのスクリーニングで感染が判明し、その後すぐにスリランカ国内の感染症専門の病院に入院した。患者はその後2月19日に退院し、中国へ既に帰国している。スリランカ政府は、同観光客の感染が判明した直後、1月28日付で中国からのアライバルビザの(到着時のビザ取得)発給を停止し、2月末現在も停止措置は継続されている。

スリランカ政府は、武漢市に滞在していたスリランカ人32人(主に武漢大学の学生)を、1月末に政府特別機で国内に呼び戻し、軍キャンプ敷地内に建設されたプレハブハウスに収容した。その後、2週間の精密検査を受け、全員が感染者でないことが確認され、2月中旬に全員退院した。

観光業や建設業に影響も

スリランカは、2019年4月のテロ発生から、順調に観光客が戻りつつあったが、新型コロナウイルスの影響により、2020年2月の政府観光局の発表によると、2月の観光客数は前年同月比5%減とみられている。2019年の中国からの観光客は16万7,000人で、今回の中国に対するアライバルビザの停止などで、影響はより拡大するとの見方もある。なお、2019年のテロ発生後に、国内観光業を支援するために開始された、中国を含む特定国への観光ビザ無償化措置(2019年8月27日記事参照)は、当初2020年1月末で終了する予定だったが、2020年1月1日に4月末まで延長することが発表され、2月13日に国会で承認されている。

観光業のみならず、建設業においても影響がみられる。スリランカで進行中のインフラ整備案件について、中国本土から多くの建設労働者がスリランカに滞在していたが、新型コロナウイルスの影響で労働者が集まらず、工事が一時的に止まっている案件がある。また、中国からのコンテナは、港湾において各種検査が強化されているため、建設資材や機械類、綿、プラスチック、布類などの資材の輸入に時間を要し、物流に遅れが出ている。そのほか、中国国内の工場が閉鎖されているために、スリランカに予定されていた荷が届かないなどの影響も聞かれる。

(ラクナー・ワーサラゲ、糸長真知)

(スリランカ)

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