スイスのチョコレートメーカー大手バリー・カレボーが値上げを予定
(コートジボワール)
アビジャン発
2019年11月20日
スイスのカカオ・チョコレートメーカー大手のバリー・カレボーは、2大カカオ生産国のコートジボワールとガーナが2020/2021収穫年度(2020年10月~2021年9月)から「所得適正化のための補償」(DRD)調整方式の導入を予定していること(2019年10月17日記事参照)に伴い、原料調達コストの上昇分を販売価格に上乗せする予定であることを明らかにした。同グループのアントワーヌ・ド・サンタフリーク最高経営責任者(CEO)が11月6日、2018年度(2018年9月~2019年8月)決算報告に関する記者会見で発表した(「Commodafrica」紙11月6日)。
DRD方式は、カカオ国際市況の低迷が続く中、生産者の所得適正化を図る目的で、コートジボワール・コーヒー・カカオ評議会(CCC)とガーナ・ココボード間で7月に合意された。2020/2021年度産カカオ豆取引から1トン当たり400ドルの割増金が課されることになる。
サンタフリークCEOは、世界生産の6割を占める2大カカオ生産国のDRD方式採用に支持を表明した。また、チョコレート産業界は生産者を支援する措置に同調しており、一部の大手メーカーが既に、2020/2021年度産カカオ豆の先物に400ドルを上乗せした価格で取引していることを明らかにした。バリー・カレボー・グループは原料価格の変動に対応するために、買い手側に価格変動を上乗せする「コストプラス」価格設定方法を採用しており、販売価格への転嫁は売買契約に基づくものとされる。また、同CEOはコートジボワールとガーナに続いて、その他の生産国にも同様の価格調整方式が波及するとみている。実際、ナイジェリアや南米の生産国がチョコレート産業界の値上げの動きを注視しているとの報道もある。
同グループは原材料の調達から製造・加工、流通、販売まで手掛けている。グループウェブサイトによると、ネスレやユニリーバなどの多国籍メーカーからショコラティエ、パティシエ、ホテル、レストランといった専門店にカカオ原料やカカオ加工品を供給しており、世界で消費されるチョコレート製品の4分の1にバリー・カレボー製品が含まれている。
(渡辺久美子)
(コートジボワール)
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