シンガポールとインドネシア、ナショナルシングルウィンドウ相互接続など合意

(シンガポール、インドネシア)

シンガポール発

2019年10月15日

シンガポールのリー・シェンロン首相とインドネシアのジョコ・ウィドド大統領は10月8日の会談で、貿易関連手続きの電子化・窓口「ナショナルシングルウィンドウ(NSW)」の相互接続や通貨協定の延長など、両国の協力関係強化に向けて合意した。両国首脳は毎年、それぞれの担当閣僚も交えて会合(Leader’s Retreat)を開催しており、リー首相とジョコ大統領がこうした会合で会談するのは4回目。今回の会合はシンガポールで開催された。

シンガポールのヘン・スイキャット副首相兼財務相とインドネシアのスリ・ムルヤニ財務相は同日、NSWの相互接続を通じた両国間の貿易促進に関する覚書(MOU)に署名した。また、2018年11月に調印した通貨協定の1年間の延長に合意したほか、2国間の懸念材料となっていた空域の管理と軍事訓練に関する今後の交渉の枠組みに合意した。同日の一連の合意内容については表のとおり。

表 シンガポールとインドネシアの首脳会談(2019年10月8日)の主な合意事項

投資協定の早期批准、租税条約を更新へ

リー首相は共同会見で「2国関係は良好」だと語り、ジョコ大統領とは「1期目で多くの成果を達成しており、2期目もポジティブな関係を維持したい」と抱負を述べた。同首相は両国間の投資促進で、2018年の首脳会談で署名した2国間投資協定について、インドネシアの早期批准に期待を示した。また、約30年前に署名した2国間租税条約の更新の必要も指摘した。

シンガポールは2014年以来、対インドネシア投資で最大の投資国だ。シンガポールの対インドネシア投資額は2018年に実行ベースで総額92億米ドルだった。同会見では、2国間プロジェクトとして、インドネシアの中部ジャワ州のクンダル工業団地と、バタム島北部のノングサ・デジタル・パーク(NDP、注)の事例が取り上げられた。リー首相によると、2016年に開設されたクンダル工業団地はこれまでに約60社が入居し、投資額は総額8億米ドル。また、2018年に第1期工事が完成したNDPには90社が入居し、インドネシアのテック人材約800人を雇用している。

(注)シンガポールの国境近くのバタム島北部の情報通信技術(ICT)専門の工業団地「ノングサ・デジタル・パーク」については2019年5月10日付地域・分析レポート参照。

(本田智津絵)

(シンガポール、インドネシア)

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