シンガポール向け建設用途の砂の輸入、マレーシアの禁輸措置で大幅減

(シンガポール、マレーシア)

シンガポール発

2019年07月24日

シンガポールで建設や埋め立て工事用途で使われる砂の輸入が2018年下半期以降、大きく減少している。2018年の天然砂(HSコード2505)の輸入額は5月までは、月平均で約6,300万ドルだったが、6月以降は約600万ドルまで落ち込んだ。マレーシアが同年5月以降、全世界向けの海砂の輸出を禁止した影響とみられる。

国連統計によると、シンガポールは2018年通年の天然砂(HSコード2505)の総輸入量の98%以上をマレーシアに依存していた。天然砂の輸入額の月別推移をみると、禁止となった5月以降、ミャンマーなどマレーシア以外の国から増加しているものの、全体の輸入額が明らかに減少している(添付資料参照)。

マレーシアのザビエル・ジャヤクマール水・土地・天然資源相は7月4日、地元メディアに対し、政権交代があった2018年5月以降、マレーシアから全世界への海砂の輸出が禁止となっていることを明らかにした。川砂は引き続き輸出可能となっている(「ザ・スター」紙7月4日)。

シンガポールは独立以降、埋め立てにより国土を約24%以上拡大させており、最近でもトゥアス港など、積極的な埋め立て工事が続く(2019年7月16日記事参照)。輸出が禁止された海砂は一般的に埋め立て工事に多く使用されており、一部では工事の継続、進捗を不安視する声もある。これに対し、国家開発庁は、シンガポールには複数の砂の供給源があり、砂への依存度も低下していると述べ、強気の姿勢を見せた(「ストレーツ・タイムズ」紙7月5日)。

(南原将志)

(シンガポール、マレーシア)

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