ビジネスヨーロッパ、ブレグジットに関し政治家の責任ある判断求める

(EU、英国)

ブリュッセル発

2019年03月14日

ビジネスヨーロッパ(欧州産業連盟)は3月13日、前日の英国議会で英国のEU離脱(ブレグジット)協定案が否決された(2019年3月13日記事参照)結果を踏まえ、英国議会議員に対して今後の採決での責任ある判断を求める声明を発表した。同連盟は「合意なき離脱(ノー・ディール)は議論の対象から外すべき」との見解を打ち出している。

欧州産業界、ノー・ディールのリスクへの警戒感強める

ビジネスヨーロッパは、英国議会が離脱協定案を否決したことで、同案に含まれている移行期間も否定されたことになると指摘し、ブレグジット後のビジネス環境の激変、離脱後に交渉開始が期待されているEU・英国の通商関係に適応するための猶予期間も認められなくなると危機感を強めている。

同連盟のピエール・ガタズ会長は「ブレグジットを15日後に控えて、もはや一刻の猶予もない状況だ」との現状認識を明らかにした。同会長によると、EU側の企業は高まるノー・ディールのリスクを前提に、対策・準備を急いでいるが、いまだ多くの不確定要素が残るという。同会長は「ノー・ディールは企業のコスト増加だけでなく、(進出企業の撤退など)取り返しのつかない経営判断を引き起こす」と指摘。「政治家は責任ある行動をとり、ノー・ディールは直ちに交渉のテーブルから除外すべき」「ノー・ディールはカオスであり、企業活動の断絶を引き起こし、想像を絶する経済的な問題に直面する」と焦燥感を募らせている。ビジネスヨーロッパは3月11日にも、13の産業団体との連名で強い警告を発していた(2019年3月12日記事参照)。

欧州理事会のドナルド・トゥスク常任議長は3月13日、自身のインスタグラムで英国在住の少女(6歳)から受け取った手紙を公開。手紙には「私たちがEUを離脱することは私も知っています。でも、私たちは友人であるべきだと思います。だから、あなたの写真にサインしたものをください。私のEUの思い出のために」と書かれてあった。これに対して、欧州議会のブレグジット問題対策グループ座長を務めているギー・フェルホフスタット議員(ベルギー選出)はツイッターに、「時として子供が物事の本質を明らかにすることがある。(ブレグジット問題の)何と罪深いことか」と投稿、欧州政治の混乱を嘆いた。

(前田篤穂)

(EU、英国)

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