英政府、移行期間終了後の一時的な関税協定を提案

(英国)

ロンドン発

2018年06月11日

英国政府は6月7日、北アイルランドとアイルランド間の国境管理などを伴うハードボーダーを避けるため、英国のEU離脱(ブレグジット)に伴う移行期間終了後に、さらに一時的な関税協定を結ぶ「バックストップ・プラン」を提案した。バックストップ・プランの適用が合意された場合、英国は、EUとの貿易において関税、輸出入割当、原産地規則、通関手続きが不要となるが、一時的な関税協定を機能させるために必要な場合を除き、英国はあくまでEUの共通通商政策(CCP)の範囲外にある、とする。

加えて、この期間中、英国はEU以外の国と自由貿易協定(FTA)の交渉および批准は可能で、この一時的な関税協定に影響を与えない範囲でのFTAの施行も可能とした。同協定には、期限が設けられるべきとし、将来の関税協定が締結されるまで、もしくは最長でも2021年12月末までとしている。これは、バックストップ・プランが無期限となることを懸念していた政府内のEU離脱派に配慮した格好だ。

当地各紙報道によると、テレーザ・メイ首相は「最終的な関税協定への合意はなされているが、技術的な理由から(移行期間終了後の)同協定を2021年1月1日から導入することができない場合のための措置」とし、「バックストップは時間制限があることは明白だ」と述べた。英国経営者協会(IoD)のスティーブン・マーティン理事長は「企業は、英国とEUが将来の通商関係の実質的な協議に移ること切望しており、『バックストップ』が可能な限り早く締結されることが極めて重要」とコメントした。

一方、英国政府は当初、6月28~29日に開催される欧州理事会の前に、離脱後のEUとの関係に関する白書を公表する(2018年5月18日記事参照)としていたが、詳細を詰める必要などの理由から、公表は同理事会後になると報じられている。

(鵜澤聡)

(英国)

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