ジェトロ・グローバル・アクセラレーション・ハブオーストラリア(シドニー・メルボルン等)

CSIRO(連邦科学産業研究機構)や大学を中心にコア技術開発が進む。開発拠点、欧米進出前のランディングパッドとしても脚光を浴び始めた豪州市場。フィンテックはもとより、クリーンテック、メドテック、アグテック、ディープテックに強み。

エコシステムの特徴・トレンド

特徴
Wi-Fi技術やグーグルマップに代表されるように、オーストラリアは技術発明国。研究者6000人を擁するCSIRO(連邦科学産業研究機構)や大学を中心に海外企業とも積極的に連携。
2015年にイノベーション戦略が発表されて以降、イノベーションやスタートアップ育成を推進する制度が導入。近年、連邦政府や州レベルにおけるファンドやアクセラレーションプログラムが充実化。
産業集積や地理的条件等からクリーンテック、メドテック、アグテックなどで豪州にアドバンテージ。豪州での技術開発のみならず、欧米各国との相互認証制度を用いて第三国へのビジネス展開もあり、ランディングパッドとしての豪州にも注目が集まる。
注目分野
クリーンテック / クライメイトテック:資源国として迫られる脱炭素化・エネルギートランジションの中で盛り上がりを見せる分野。また、環境保護の観点から、サステナビリティやサーキュラーエコノミーに関連するスタートアップも増加。
ライフサイエンス:メディケア制度で確立された医療市場が存在。欧米市場との相互認証のメリットや治験におけるスピードの速さから、メドテックやヘルステックにおけるスタートアップのインキュベーション機能が存在。スケールアップするファンドも多数。
アグリテック / フードテック:食料自給率300%を超えるオーストラリアは、食料や農業に関する研究開発の質では世界トップクラスであると評価されている。共同研究施設やハブのネットワークがあり、また政府による税制優遇制度や州レベルでの支援もある。
AI / ビッグデータ / ディープテック:ディープテック、ビッグデータの分野はCSIROの重点分野の一つでもあり、大学・研究機関が集積している。日本企業との連携も始まっており、海外企業に対してオープンな環境。

※各州により、強みとなる分野が異なる。例えばシドニー(NSW州)は金融業の集積地となっており、2022年には954のフィンテック・スタートアップが誕生。またSA州等にはスペーステックに特化したイノベーション施設もある。

提携先

Innovation Dojo

  • 日豪大学のスタートアップのアクセラレーターとして2016年から活動。
  • スタートアップがシドニーを中心に事業を展開する支援を実施。
  • アクセラレーターブログラム、オープンイノベーションプログラムなどの実施経験から、現地エコシステム内での主要プレイヤーとのネットワークが豊富。
  • 日系スタートアップの豪州進出及び豪州スタートアップの日本進出サポートなど、両国スタートアップエコシステムを繋いだ実績有り。
  • 日系企業による豪スタートアップへの投資相談、及び企業ベンチャーの作成及び立上げ等、企業イノベーションの経験が豊富。
  • 2言語(日本語、英語)での対応。
  • オンラインでのリモートメンタリング、日豪両国における現地同行も含めて柔軟に対応。

Global Value Partners (GVP)

2015年に設立。日豪スタートアップが両国の市場で新たな機会を開拓できるよう、以下の分野などで言葉の壁や商習慣の違いを乗り越えるサポートをハンズオンで行う。

  • Sales and Go-to-Market strategies (営業及び市場進出戦略)
  • Product Market Fit and New Product Development(プロダクト/市場の適合性及び市場に合わせた新商品開発)
  • PoC engagements (PoC取り組みのプロジェクトマネージメント)
  • Strategic partnerships(戦略パートナーの発掘)
  • Investor relations and capital raising (VCからの資金調達)
Global Value Partners (GVP)

Medtech Actuator

  • 2018年創業。豪州メルボルンに拠点を構える、メドテック分野に特化したアクセラレーター。
  • アーリーステージの企業を対象としたアクセラプログラム「Origin」や、グローバル展開を目指す企業向けのアクセラプログラム「Global Navigator」等、様々なSU支援プログラムを運営・主催。
  • 豪州企業向けのみならずAPACを中心とした海外企業向けのプログラムも実施。
Global Value Partners (GVP)

メンター例

西中川 薫 氏, CO-Founder, イノベーション道場(現在News Corp Australia)
2016年:ジョシュア フラネリーらと共にイノベーション道場を設立。日豪の大学をイノベーションを通してつなげるプログラムを提供。
2019年:企業イノベーションのリーダー的存在のFusion Labs(現Deloitte Australia)にInnovation Consultantとして勤務。日豪の大企業のイノベーションプログラムの作成及び運営を担う。
日立主催のアクセラレーション・プログラムの策定・運営を担うほか、在シドニー総領事館主催のオープンイノベーションを進める日系企業による「イノベーション・ラウンドテーブル」の主宰を務めた。
2022年:豪州最大のメディア企業、News Corp Australiaにおいて、成長戦略及び新規事業開発等を担う傍ら、大企業におけるイノベーションカルチャーの浸透及び社員のイノベーションスキル向上のためのトレーニングを担う。
吉村 英明 氏, Founder & CEO, Global Value Partners (GVP)
オーストラリア・ビクトリア州で生まれ育ち、2001年に豪州でインターネット広告スタートアップを設立。2015年に海外スタートアップの日本進出を支援するGlobal Value Partnersを創業、オーストラリア連邦科学産業研究機構「CSIRO’s Data61」からスピンオフした小売AIスタートアップ、HIVERYと出会い、2018年に日本法人HIVERY Japanを設立、カントリーマネージャー・取締役として就任。現在シドニーに在住し、より多くの日豪スタートアップが両国の市場で新たな機会を開拓できるよう、言葉の壁や商習慣の違いを乗り越えるサポートをハンズオンで行う。Monash大学卒業、メルボルン大学ビジネススクールMBA。
Matthew Frith, Chief Operating Officer, MedTech Actuator
メドテック・アクチュエーターCOO。同社および同社プログラムの戦略企画を担う。
起業家サポートを通じて、またキープレーヤー/ステークホルダーとの戦略的パートナーシップ構築を通じて、幅広いネットワーク、人脈を有している。

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ジェトロ・スタートアップ課
E-mail: JHUB@jetro.go.jp