有限会社相澤染工場

「チャレンジャー精神」で伝統ある藍染技術を世界へ

明治39年(1906年)創業。伝統的な藍染・型染の技法を受け継ぎ、藍染半てん・印半てん・法被・のれんなどに加えて、スカーフ・手ぬぐいなどの小物製品も製作。コロナ禍を契機に本格的な海外展開に踏み出し、急激に市場での存在感を高めている。

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展開国・地域:
米国、英国、香港、欧州他
取扱製品:
藍染半てん、印半てん、法被、のれん、各種小物類

相澤 択哉 氏

ピンチをチャンスへ。TAKUMI NEXTを海外への1歩目に

弊社は明治後期より、代々伝統的な藍染・型染の技法を守り続けています。しかしながら時代の経過とともに、跡継ぎのいない周囲の同業他社や問屋はどんどんと減っていき、自然と自社の将来にも危機感を抱くようになりました。そのような状況の中、2020(令和2)年から始まったコロナ禍が本格的に海外展開に挑戦するきっかけとなりました。売り上げの大部分を「お祭り向けの半てん」が占めていた私たちにとっては、コロナ禍で相次ぐイベント中止による打撃は非常に大きく、自ずと新たな販路開拓を行う必要性があったためです。 過去に海外との取引経験はほとんどなく、何から手を付けていいか模索していたところ、ジェトロのTAKUMI NEXTプログラムに出会いました。TAKUMI NEXTでは海外バイヤーとの商談に加えて、各種セミナーや参加事業者同士での意見交換の場「メンタリング」が設けられています。事前にそれらのイベントを通じて「海外バイヤーとの商談・取引に際して何が必要か?」を学び、ラインシート・発送方法などをしっかりと固めてから商談に挑むことができました。結果としてこちらのプログラムを通して初めて海外バイヤーと成約することができ、最初に参加した海外展開のプログラムとしては非常に助かりました。TAKUMI NEXTには2021(令和3)年から3年連続で参加しています。

伝統的な職人向けの「手甲半てん」を基にした「藍染半てんコート」

SNSにも創意工夫を。投稿の反応から新たなニーズを見出す。

海外に挑戦していく中で、「積極的な情報発信」「とにかくまずやってみる」という2つのポイントは常に強く意識しています。まず初めに、自社の製品・技術を広く認知してもらう必要性を感じ、各種SNSと自社ブランドサイト「ものあい」を立ち上げました。コロナ禍以降は比較的時間に余裕が生まれたこともあり、「SNSの毎日投稿」「全投稿への英語訳の併記」にもチャレンジしたところ、海外のお客様からのお問い合わせも次第に増えるようになりました。現在海外とのお取引については、ジェトロから紹介されたバイヤーに加えて、翻訳ソフトを駆使しながらインスタグラムのダイレクトメッセージからも注文を受け付けています。
海外のお客様は、インスタグラムの投稿に付ける「ハッシュタグ」を経由して弊社のアカウントを訪れているようですが、「どの投稿にどのハッシュタグをつけるか?」についても日々試行錯誤を重ねています。インスタグラムは、ハッシュタグの種類によってアプローチできるユーザーの属性が大きく異なります。日々さまざまなハッシュタグを試し、弊社の投稿がより広く世界中に届く方法を模索しています。
また、今まで想定していなかった顧客層からのニーズに気付くことができる点も、SNSの面白さです。さまざまなハッシュタグを試す中で、海外のタトゥー愛好家たちから自社の商品に対して大きな反応を頂いた時は、私たちも驚きました。世界全体を広く見て、今後も自社商品の新たなニーズを探求していきたいと思います。

製品は職人の手で1つ1つ丁寧に、手作業で製作される

時代の潮流をとらえ、新たな施策への挑戦を続ける

新型コロナの影響も収まってきた現在、海外のお客様へのアプローチ方法もあらためてアップデートしていく必要があると認識しています。コロナ禍の最中は対面での活動が制限され、お客様へのアプローチから取引まですべてオンラインに限定されていました。少人数で製品製作を行っている私たちにとっては、オンラインでの営業活動は仕事の合間や前後の時間帯に対応できる為、非常にやりやすく感じています。一方でコロナ禍が終わりを迎え、あらためて対面活動の重要性が認識されつつある中、現在の取組に加えてどのように営業の幅を広げていくかが、まさに直面している課題であるととらえています。
海外に展開していくにあたっては、ただ取引数だけを増やすのではなく、日本文化や製品自体の背景について深く興味関心を抱いてもらえるお客様を大切に、かつ丁寧にコミュニケーションを取っていきたいと考えています。人数が少ない工房ということもあり、海外の展示会などに直接足を運ぶことは極めて難しい一方、日本文化に精通したバイヤーの方々が多く来訪する、日本のギフトショーなどには今後積極的に参加したいと思います。 これからも弊社らしく、「新たな取組をやってみよう、やらなければならない」というマインドを持ちながら、日々歩み続けてまいります。

自社ブランド「ものあい」ではエコバッグやスカーフなど、現代的な小物製品も取り揃える

ジェトロ担当者からの一言コメント

同社は本格的な海外展開に挑戦してまだ日が浅い中、「何事もまずはやってみよう」と次々に新たな取組に踏み出す、非常に積極的な姿勢が印象的でした。またInstagramなど1つ1つの取組においても、自ら創意工夫を重ねよりよい施策を探求されている点は、私たちも大変勉強になりました。今後も時代の先を読む先駆者として、是非伝統産品業界全体を引っ張っていって頂きたいと思います。

有限会社相澤染工場

埼玉県八潮市
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設立年:1906(明治39)年
事業内容:藍染半てん、印半てん、法被の染色・縫製。のれん、のぼりの染色・縫製。小物類の藍染・縫製、衣類の染直し・製品染め、皮革の藍染加工。藍染体験、ワークショップの受託。

2023年11月

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