サムスン電子、第3四半期の売上高は過去最高
(韓国)
ソウル発
2024年11月01日
韓国のサムスン電子は10月31日、2024年第3四半期(7~9月)の業績(連結ベース)を発表した(添付資料表1、表2参照)。同四半期の売上高は前年同期比17%増の79兆1,000億ウォン(約8兆7,010億円、1ウォン=約0.11円)、営業利益は約3.8倍の9兆1,800億ウォンと、増収増益となった。
同社は第3四半期の業績について、「スマートフォンの新モデルの発売や、ハイエンドのメモリー半導体の販売増加が売り上げ拡大を牽引した。売上高は2022年第1四半期(1~3月)の77兆7,800億ウォンを超えて、四半期別では過去最高額を記録した」と評価した。
事業部門別の業績は次のとおり。
(1)DX(Device eXperience)部門(家電、IT、モバイルなど)
MX(Mobile eXperience:無線通信機器部門)は、スマートフォン、タブレット、ウエアラブル関連の新製品発売により、前期比と前年同期比で売上高、営業利益が増加した。
VD(Visual Display)は、Neo QLED(注1)、OLED(注2)、大型TVなどの戦略製品の販売やサービス事業に注力し、前期比と前年同期比で売上高、営業利益が増加した。
DA(Digital Appliances:生活家電)は、プレミアム製品の販売が拡大し、前年同期比で業績が改善した。
(2)DS(Device Solutions)部門(半導体など)
メモリーは、AI(人工知能)やサーバー用需要に積極的に対応し、HBM(High Bandwidth Memory:広域帯メモリー)、DDR5(Double Data Rate 5)、サーバー用SSD(Solid State Drive)などの高付加価値製品の販売が拡大した。
システムLSI(大規模集積回路)は、フラッグシップ製品の新規顧客の確保によるSoC(System on Chip、注3)の販売量増加、DDI(Display Driver IC、注4)の販売拡大により、売上高が増加した。
ファウンドリー(注5)は、モバイルとPCの需要回復が予想よりも遅れ、前期比で減益となった。
(3)SDC(サムスンディスプレー)
ディスプレーについては、中小型パネルはスマートフォン新製品の発売により業績が改善した。大型パネルはテレビとモニターの堅調な需要を背景に、前期比で販売量は増加したが、営業利益は減少した。
(4)ハーマン(ハーマン・インターナショナル)
オーディオ製品の販売拡大とコスト構造の改善により、前期比で営業利益が改善した。
サムスン電子は業績発表に合わせ、第3四半期の設備投資実績も発表した。それによると、同四半期の設備投資総額は12兆4,000億ウォン、内訳はDS部門の10兆7,000億ウォン、ディスプレー部門の1兆ウォンなどだった。同期の研究開発投資(R&D)は8兆8,700億ウォンだった。
(注1)サムスン電子が販売している量子ドット技術とミニLEDを搭載した液晶テレビ。
(注2)Organic Light Emitting Diodeの略称で、有機ELディスプレーのこと。
(注3)1つの基盤の上にシステムに必要な機能を統合した半導体製品。
(注4)液晶ディスプレーなどの電子機器を駆動・制御するためのICチップ。
(注5)半導体製造で、顧客から委託を受けて受託生産する会社の体系のこと。
(橋本泰成)
(韓国)
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